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エンジェルスの本塁打トップ3のうち2人は「青の球団」と契約。ドジャー・ブルーとロイヤル・ブルー

宇根夏樹ベースボール・ライター
ハンター・レンフロー Aug 28, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、ロサンゼルス・エンジェルスの本塁打トップ3は、44本の大谷翔平、26本のブランドン・ドゥルーリー、19本のハンター・レンフローだった。マイク・トラウトは、レンフローより1本少なかった。

 彼らのうち、大谷とレンフローは、エンジェルスを退団している。大谷は、シーズン終了後にFAとなり、ロサンゼルス・ドジャースに入団した。レンフローは、8月末にウェーバー経由でシンシナティ・レッズへ移り、9月下旬に解雇された。

 MLB.comのアン・ロジャースによると、レンフローは、12月15日にカンザスシティ・ロイヤルズと契約の合意に達したらしい。2024年が年俸550万ドル、2025年は年俸750万ドルの選手オプション(解約金100万ドル)で、どちらの年も最高50万ドルのパフォーマンス・ボーナス(出来高)がついているという。この契約は、2年1300万ドルという見方ができる。

 チーム・カラーからすると、大谷の移籍は赤→青(ドジャー・ブルー)、レンフローは赤→赤→青(ロイヤル・ブルー)だ。

 ロイヤルズがレンフローに最も期待しているのは、パワーだろう。今シーズン、ロイヤルズの本塁打トップ3は、30本のボビー・ウィットJr.、23本のサルバドール・ペレス、16本のMJ・メレンデス。彼らの合計本数は、エンジェルスのトップ3と20本の差がある。また、チーム全体の163本塁打は、ア・リーグで2番目に少なかった。

 メジャーリーグ2年目の2017年以降、レンフローのシーズン本塁打が20本を下回ったのは、短縮シーズンの2020年しかない。2017~18年が各26本、2019年が33本、2020年の8本を挟み、2021年が31本、2022年が29本、2023年は20本――エンジェルスで19本とレッズで1本――だ。一方、出塁率は高くなく、7シーズン(2017~23年)とも.320未満だ。2016年の出塁率は.389ながら、出場は11試合に過ぎない。ちなみに、この年は4本のホームランを打った。通算200本塁打までは、あと23本だ。

 今オフ、ロイヤルズが行った補強は、レンフローだけではない。ブルペンに、ウィル・スミスクリス・ストラットンニック・アンダーソンの3人、ローテーションには、セス・ルーゴマイケル・ワカの2人を加え、内外野を守るギャレット・ハンプソンも手に入れている。ワカとの契約も、正式発表は出ていないが、ロジャースやESPNのジェフ・パッサンによると、2年3200万ドル――年俸1600万ドルと選手オプションの年俸1600万ドル――で合意に達したらしい。

 アンダーソンは、金銭と交換にアトランタ・ブレーブスから獲得し、あとの6人はFA市場から迎え入れた。彼らと交わした契約は、総額の多い順に、ルーゴの3年4500万ドル、ワカの2年3200万ドル、レンフローの2年1300万ドル、ストラットンの2年800万ドル、スミスの1年500万ドル、ハンプソンの1年200万ドルだ。合わせて、1億500万ドルとなる。この金額は、近年のロイヤルズとしては多い。

 今シーズン、ロイヤルズは106敗を喫したが、ア・リーグ中地区ということを踏まえると、来シーズンのポストシーズン進出もあるかもしれない。

 そう考える理由については、こちらで書いた。

「ここ3年ともワールドシリーズ優勝の投手を迎え入れた球団は、その投球よりも「運」にあやかりたい!?」

 もっとも、早々にペナントレースから脱落した場合は、夏のトレード市場で売り手に回るはずだ。今オフに加えたばかりの選手を放出しても、不思議ではない。

 レンフローは、これまで、サンディエゴ・パドレス、タンパベイ・レイズ、ボストン・レッドソックス、ミルウォーキー・ブルワーズ、エンジェルス、レッズでプレーしてきた。ロイヤルズは、7チーム目となる。最初のパドレスを除くと、移籍せずに在籍2シーズン目を迎えたチームは、まだない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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