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投手の年平均額ランキング。最高は4333万ドル。山本由伸はトップ10にランクインしたのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
山本由伸 MARCH 12, 2023(写真:CTK Photo/アフロ)

 ポスティング・システムを利用した山本由伸は、ロサンゼルス・ドジャースと12年3億2500万ドル(2024~35年)の契約で合意に達したようだ。ジ・アスレティックのケン・ローゼンタールらが、そう報じている。

 このとおりであれば、山本の契約総額は、投手では史上最高となる。2019年のオフにゲリット・コールがニューヨーク・ヤンキースと交わした、9年3億2400万ドル(2020~28年)の契約を上回る。

 ただ、総額を年数で割った、山本の年平均額は2708万3333ドル。コールの年平均額は3600万ドルだ。900万ドル近い差がある。

 年平均2500万ドル以上の契約を手にした投手は、見落としがなければ、以下のとおり。野手でもある大谷翔平(ドジャース)は、ここには含めていない。

筆者作成
筆者作成

 山本の年平均額は、こちらも来シーズンからドジャースで投げる、タイラー・グラスナウに次ぎ、17位に位置する。グラスナウは、今オフのトレードでタンパベイ・レイズからドジャースへ移り、5年1億3656万2500ドル(2024~28年)の延長契約を交わした。

 5年以上の契約に限っても、山本の年平均額は、トップ10には入らない。グラスナウが10位、山本は11位だ。もっとも、メジャーリーグではまだ投げていないにもかかわらず、トップ20にランクインしている、という見方もできる。

 今オフ、ここまでに年平均2500万ドル以上の契約を得た投手は、グラスナウと山本の他には、ソニー・グレイ(セントルイス・カーディナルス)だけ。グレイの契約は、3年7500万ドル(2024~26年)だ。フィラデルフィア・フィリーズと再契約のアーロン・ノラは、7年1億7200万ドル(2024~30年)なので、年平均額は2457万1429ドルとなる。

 現時点でFA市場に残っている投手のうち、年平均2500万ドル以上の契約で迎え入れられそうなのは、ブレイク・スネルジョーダン・モンゴメリーくらいか。あとは、FAまで1~2年の投手がトレードで移籍した場合の延長契約、グラスナウと同様のパターンだろう。スネルらと同じくFAのマーカス・ストローマンも、1~2年の契約なら可能性はありそうだが、3年以上の場合、年平均額は2500万ドルに届かないと見る。

 今オフ、ストローマンは、3年7100万ドル(2022~24年)の契約をオプト・アウトした。来シーズンの年齢(6月30日時点)が33歳であることからすると、新たな契約に望む優先順位は、年平均額よりも年数のほうが上のような気がする。

 彼らについては、こちらで書いた。

「山本由伸を逃した場合の「プランB」にはどんな投手がいるのか。サイ・ヤング賞投手も1人ではなく…」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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