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エンジェルスからブレーブスへ移籍のフレッチャーが、マイナーリーグへ降格。どこで開幕を迎えるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
デビッド・フレッチャー Apr 2, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 12月13日、アトランタ・ブレーブスは、デビッド・フレッチャーをAAAへ降格させた。フレッチャーは、5日前に成立した2対2のトレードにより、マックス・スタッシとともに、ロサンゼルス・エンジェルスからブレーブスへ移籍した。

 ブレーブスは、フレッチャーをこう動かした。トレードで獲得→40人ロースターから外す(ウェーバー公示)→ウェーバー公示期間の終了(他球団による獲得なし)とともにAAAへ降格(フレッチャーの拒否&退団なし)、だ。

 スタッシは、すでにブレーブスにはいない。ブレーブスへ移った翌日に、シカゴ・ホワイトソックスへ放出された。今オフ、ブレーブスは、スタッシにしたのと同じような動きを、何度も行っている。それについては、こちらで書いた。

「ブレーブスは今オフに獲得した選手を立て続けにトレードで放出。エンジェルスから入手したスタッシも!?」

 もっとも、スタッシと違い、フレッチャーを手放すつもりはなかったと思われる。

 40人ロースターから外したのは、これから、FA市場に出ている出ている選手と契約を交わす、あるいはトレードで誰かを獲得する準備だろう。新たに加える選手のために、ロースターの枠を空けた、ということだ。フレッチャーがいても、枠には余裕があったので、複数の選手を手に入れようとしているのかもしれない。

 他球団は、ウェーバーにかかっているフレッチャーを獲得することができた。けれども、フレッチャーの契約は、5年2600万ドル(2021~25年)の3年目が終わったところだ。あと、2年1400万ドルが残っている。ブレーブスは、フレッチャーを手に入れ、この支払いを負担しようとする球団は現れない、と踏んでいたのだろう。実際、そのとおりになった。

 また、フレッチャーは、降格を拒み、FAになることを選ぶこともできたが、その場合、残っている1400万ドルを得ることはできない。

 ブレーブスは、フレッチャーを40人ロースターから外したが、もちろん、戻すことも――その時点で枠が空いていなければ、代わりに誰かを外す必要があるものの――できる。現時点のメンバーからすると、フレッチャーは、控え内野手の筆頭候補だろう。開幕までに、40人ロースターに戻され、試合に出場可能なアクティブ・ロースターの26人にも入ると思われる。

 なお、万が一、フレッチャーが他球団に獲得されても、その事態に備えた「保険」もあった、という見方もできる。ブレーブスは、アンドルー・ベラスケスとマイナーリーグ契約を交わしている。それについては、こちらで書いた。

「エンジェルスで併殺デュオを組んだ2人が、ブレーブスで開幕ロースター入りを争う!? フレッチャーと…」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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