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MVP投票で2位の選手は違う年にMVPを受賞しているのか。今年の2位は近藤健介と近本光司

宇根夏樹ベースボール・ライター
山本由伸(左端)と近藤健介(右から2人目)MAR 12, 2023(写真:CTK Photo/アフロ)

 今年のMVPは、山本由伸(オリックス・バファローズ)と村上頌樹(阪神タイガース)が受賞した。山本は3年連続3度目。村上は初受賞だが、過去2年は村上宗隆(東京ヤクルト・スワローズ)が受賞しているので、セ・リーグのMVPは3年続けて「村上」ということになる。

 各リーグの2位には、それぞれ、近藤健介(福岡ソフトバンク・ホークス)と近本光司(阪神)が位置した。2人とも、これからMVPを手にする可能性はあるが、過去に受賞したことはない。トップ5にランクインしたのも、今年が初めてだ。近藤は、2020年が18位タイ。近本は、2019年が7位、2021年が12位、2022年は22位タイだった。

 今世紀に入ってからのMVP投票2位は、以下のとおり。

筆者作成
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 延べ46人中、斉藤和巳上原浩治稲葉篤紀小笠原道大柳田悠岐(福岡ソフトバンク)、山田哲人(東京ヤクルト)の6人は、このスパンの2位が2度ずつ。あとの34人は1度だ。この40人のうち、27.5%の11人は、2位の前後を問わず、他の年にMVPを受賞している。2位の翌年にMVPは3人。2010~11年の浅尾拓也に、2014~15年の柳田と山田がそうだ。

 一方、上原は、ルーキー・イヤーの1999年を含め、2位が3度ありながら、MVPは一度も受賞していない。なかでも、惜しかったのは1999年だ。この年の1位票は80を数え、受賞した野口茂樹より21多かったが、トータルの538点は野口より14点少なかった。野口は、29登板で203.2イニングを投げ、19勝7敗、防御率2.65、145奪三振と67与四球。上原は、25登板、197.2イングイニング、20勝4敗、防御率2.09、179奪三振と24与四球だ。野口がいた中日ドラゴンズはリーグを制し、上原がいた読売ジャイアンツは6ゲーム差の2位に終わった。

 また、稲葉は、2007年の2位も2009年の2位も、チームメイトのダルビッシュ有(現サンディエゴ・パドレス)に次いだ。2008~09年の小笠原も同様。チームメイトのアレックス・ラミレスが、2年続けて受賞した。稲葉のMVPは皆無だが、小笠原は、2006年と2007年に、それぞれパ・リーグとセ・リーグのMVPに選ばれている。2006~09年は、MVP、MVP、2位、2位だ。

 2001年以降、最多の1位票を得ながら2位――1999年の上原と同じパターン――は3人いる。2003年の矢野輝弘、2005年の松中信彦、2006年の斉藤だ。2003年のセ・リーグは、受賞した井川慶の1位票62に対し、2位の矢野は71。2005年のパ・リーグは、杉内俊哉が55、松中は56。2006年のパ・リーグは、小笠原が74、斉藤は82だった。2005年のパ・リーグでは、杉内と松中だけでなく、3位の渡辺俊介も50以上の1位票(53)を得た。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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