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エンジェルスがFAの三塁手に興味を抱いているのは、あのレンドーンに見切りをつけたから!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジェイマー・キャンデラリオ Aug 12, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・エンジェルスには、三塁手のアンソニー・レンドーンがいる。来シーズンは、7年2億4500万ドルの契約5年目。年俸は3800万ドルだ。

 ただ、ここ3シーズンの出場は148試合。1シーズンの平均ではなく、3シーズンの合計だ。このスパンにエンジェルスが行った試合の、約30%に過ぎない。

 今シーズン、三塁手として、20試合以上のスターティング・ラインナップに名を連ねた選手は4人いた。レンドーンが43試合、マイク・ムスタカスが37試合、エデュアルド・エスコバーが29試合、ジオ・アーシェラは28試合だ。今オフ、レンドーン以外の3人は、FAになった。エンジェルスは、エスコバーの契約についていた、900万ドルの球団オプション(解約金50万ドル)を破棄した。

 ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンによると、シカゴ・カブスからFAになったジェイマー・キャンデラリオに対し、アリゾナ・ダイヤモンドバックスとシンシナティ・レッズとともに、エンジェルスも興味を抱いているという。

 レンドーンは、来年の6月初旬に34歳の誕生日を迎える。キャンデラリオは、今月下旬に30歳となる三塁手だ。今シーズンは、ワシントン・ナショナルズとシカゴ・カブスで計140試合に出場し、打率.251と出塁率.336、OPS.807を記録した。長打は、ホームランが22本、三塁打が3本、二塁打は39本。シーズン20本塁打以上は初めてだが、2021年に42本の二塁打を打っている。右打者のレンドーンと違い、スイッチ・ヒッターながら、ギャップ・ヒッターという点は共通する。

 もっとも、エンジェルスがキャンデラリオと契約を交わしても、レンドーンの居場所はなくならないだろう。今シーズン、キャンデラリオの守備位置は、移籍前が三塁だけ、移籍後は三塁と一塁がほぼ半々だった。

 考えられるのは、レンドーンが三塁、キャンデラリオは一塁だ。一塁手のノーラン・シャヌエルは、今年のドラフト全体11位。8月中旬にメジャーデビューした。マイナーリーグでもメジャーリーグでも出塁率は高く、それぞれ.505と.402を記録したものの、どちらも30試合に満たない。また、ホームランは1本ずつしかなく、長打も多くなかった。ホームランを含め、6本と4本だ。来シーズンは、AAAかAAで開幕を迎えてもおかしくない。

 あるいは、内野の両コーナーとも併用、三塁がレンドーンとキャンデラリオ、一塁はキャンデラリオとシャヌエルもあり得る。例年どおり、レンドーンが離脱した時は、三塁がキャンデラリオ、一塁はシャヌエルとすることができる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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