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代打満塁本塁打が出たチームの黒星は珍しいのか。打ったのはアデル、敗れたのはエンジェルス

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョー・アデル(ロサンゼルス・エンジェルス)May 31, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月31日、ジョー・アデル(ロサンゼルス・エンジェルス)は、0対4の7回表、2死満塁の場面で、マット・タイスの代打として起用され、ホームランを打った。

 この試合に、エンジェルスは、4対5で敗れた。8回裏に、マット・ムーアタイ・フランス(シアトル・マリナーズ)にホームランを打たれた。

 過去5シーズン(2019~23年)と今シーズンのここまでに出た代打満塁本塁打は、見落としがなければ、17本を数える。いずれも、異なる試合に違う選手が打った。

 今シーズンは、4月11日のタイロン・テイラー(ニューヨーク・メッツ)と5月7日のカル・ローリー(マリナーズ)に続き、アデルが3人目だ。ちなみに、ローリーは、アデルが代打満塁本塁打を打った試合にも出場し、2打点を挙げている。最初の打点は、無死満塁の場面でレフトへフライを打ち、三塁走者が生還した。

筆者作成
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 17試合中、代打本塁打を打った選手のチームが敗れたのは、2度しかない。その1度目は、2021年6月23日。フィラデルフィア・フィリーズは、5回裏にアンドルー・マッカッチェン(現ピッツバーグ・パイレーツ)の代打満塁本塁打で9対5とリードしたが、12対13で敗れた。この試合の6回表には、代打ではないものの、ジョシュ・ベル(当時ワシントン・ナショナルズ/現マイアミ・マーリンズ)も満塁本塁打を打った。

 代打満塁本塁打が出る直前、打った選手が打席に入った時点で、チームが4点以上リードされていたのも、2度だ。5月31日のエンジェルスと同じく、1度目も4点のビハインドだった。2019年5月8日のテキサス・レンジャーズは、8回表にハンター・ペンスの代打満塁本塁打で2対6から6対6とし、9回表に3点を加え、9対6で勝利を収めた。

 2021年5月21日のエイレイ・アドリアンザ(当時アトランタ・ブレーブス/現エンジェルス)と先々月のテイラーは、野手から代打満塁本塁打を打った。

 今シーズン、アデルは、49試合で11本のホームランを打っている。この本数は、テイラー・ウォードと並び、エンジェルスでは最も多い。少なくとも、パワーに関しては、ブレイク中だ。エンジェルスは、57試合で36敗を喫し、地区最下位に位置している。ウォードがホームランを打った11試合は6勝5敗だが、アデルが打った11試合は4勝7敗だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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