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山本由伸と10年前の田中将大は、渡米前に3年続けて防御率1点台。トータルの防御率はどちらも1.44

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョー・ジラルディ(左)と田中将大 FEB 11, 2014(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 山本由伸(オリックス・バファローズ)は、来シーズンから、メジャーリーグで投げる。まだ、球団は未定ながら、契約が成立しないという事態は考えられない。

 ここ3シーズンとも、山本は、防御率1点台を記録している。2021年が1.39、2022年が1.68、2023年は1.21。このスパンの防御率は1.44だ。

 これまで、メジャーリーグの球団と契約する直前の3シーズンに、日本プロ野球で計300イニング以上を投げた日本人投手は、23人を数える。23人目の千賀滉大(現ニューヨーク・メッツ)は、2020~22年に福岡ソフトバンク・ホークスで349.2イニングを投げ、防御率2.19を記録した。

 23人の直近3シーズンは、以下のとおり。和田毅(現・福岡ソフトバンク)は、直近の3シーズンとメジャーリーグ1年目が隣接していない。2011年のオフにボルティモア・オリオールズと契約を交わしたが、翌年の開幕前に肘を痛め、トミー・ジョン手術を受けた。その後、2014年の夏に、シカゴ・カブスからメジャーデビューした。

筆者作成
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 山本のような、直近3シーズンの防御率が1点台は、2009~11年に防御率1.64のダルビッシュ有(現サンディエゴ・パドレス)と2011~13年に防御率1.44の田中将大(現・東北楽天ゴールデンイーグルス)しかいない。

 ダルビッシュは、直前の3シーズンだけでなく、2007年から2011年まで、5シーズン続けて防御率1点台を記録した。各シーズンの防御率は、1.82、1.88、1.73、1.78、1.44だ。田中は、2011年と2013年の防御率が1.27で、その間の2012年は1.87。ちなみに、直近3シーズンの防御率は、田中も山本も1.44だが、わずかながら山本のほうが低い。

 メジャーリーグ1年目のシーズン年齢(6月30日時点)は、2012年のダルビッシュも2014年の田中も、25歳だった。山本が26歳の誕生日を迎えるのは来年8月なので、こちらも、来シーズンの年齢は25歳だ。

 また、山本は、3シーズンとも、奪三振率9.20を超え、与四球率2.00を下回っている。この両方に当てはまる投手は、23人のなかにはいない。例えば、ダルビッシュの3シーズンの奪三振率は、8.26、9.89、10.71、与四球率は、2.23、2.09、1.40だ。

 なお、メジャーリーグ1年目に規定投球回をクリアしたのは、1995年の野茂英雄(191.1イニング)、1998年の吉井理人(171.2イニング)、2007年の松坂大輔(204.2イニング)、2008年の黒田博樹(183.1イニング)、2012年のダルビッシュ(191.1イニング)、2016年の前田健太(175.2イニング)に、2023年の千賀(166.1イニング)の7人だ。2019年の菊池雄星(現トロント・ブルージェイズ)は、161.2イニング。規定投球回に0.1イニング足りなかった。

 7人のうち、松坂以外の6人は、メジャーリーグ1年目に防御率4.00未満を記録した。野茂と千賀は3.00未満。それぞれ、2.54と2.98だ。2014年の田中は、右肘を痛めて7月上旬から9月下旬まで離脱し、136.1イニングにとどまったものの、防御率は2.77を記録した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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