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この球団は1500万ドルのオプションを破棄し、1500万ドルの解約金を払う。同額なら行使しても…!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
リーアム・ヘンドリクス Jun 4, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 リーアム・ヘンドリクスは、シカゴ・ホワイトソックスと交わしていた3年5400万ドル(2021~23年)の契約最終年を終えた。この契約には、来シーズンの球団オプションがついていた。行使する場合は、年俸1500万ドル。破棄する場合、ホワイトソックスは、解約金として、1500万ドルをヘンドリクスに支払う。こちらは、年150万ドルの10回払いだ。

 ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンによると、ホワイトソックスは、ヘンドリクスのオプションを破棄したという。ヘンドリクスは、FAになったということだ。【追記:11/4】ヘイマンの一報に続き、ホワイトソックスも、オプションの破棄を発表した。

 行使と破棄のどちらでも、ホワイトソックスの支出額は変わらない。けれども、分割払いにすることで、支出を分散することができる。

 また、来シーズン、ヘンドリクスは、投げられない可能性が高い。

 年明け早々、癌(非ホジキンリンパ腫)にかかっていることをインスタグラムで明かし、治療を経て5月下旬に復帰したものの、5試合に登板しただけで右肘を痛め、8月初旬にトミー・ジョン手術を受けた。ちなみに、ヘンドリクスは、選手が選ぶカムバック・プレーヤー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。

 来年2月には、35歳の誕生日を迎える。ただ、2019年から2022年までの4シーズンは、計226登板で229.0イニングを投げ、奪三振率13.52と与四球率1.77、防御率2.26を記録した。このスパンに100セーブ以上を挙げた投手は3人、123セーブのケンリー・ジャンセン(現ボストン・レッドソックス)と120セーブのジョシュ・ヘイダーに、114セーブのヘンドリクスしかいない。

 2025年の復活に期待し、今オフ、ヘンドリクスに2年契約――あるいは1年契約+1年分の球団オプションなど――を提示する球団があってもおかしくない。

 過去にも、そういった例はいくつかある。

「今夏にトミー・ジョン手術の投手が、2年1550万ドルの契約をゲット。来シーズンは全休が濃厚だが…」

「今シーズンは全休する投手と契約した理由。あるいは復帰を待たずに解雇した理由」

 2年後、ヘンドリクスは、カムバック賞を再び受賞しているかもしれない。そうならなくても、復活を願いたい。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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