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年平均1200万ドルで残留の選手と残りの年俸1300万ドルを打ち切った選手は、どちらも今年36本塁打

宇根夏樹ベースボール・ライター
マックス・マンシー(ロサンゼルス・ドジャース)Aug 28, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、マックス・マンシーホルヘ・ソレーアは、どちらも36本のホームランを打った。それぞれ、出塁率.333と.341を記録した。2人とも、今オフにFAとなる可能性があった。

 マンシーは、昨年8月に、ロサンゼルス・ドジャースと1年1350万ドル(2023年)の延長契約を交わした。この契約には、年俸1000万ドル(2024年)の球団オプションがついていた。今シーズンの打席数によって得た出来高を加え、このオプションは1400万ドルになっていた。

 ソレーアは、昨年3月に、3年3600万ドル(2022~24年)の契約でマイアミ・マーリンズに入団した。この契約には、今オフにオプト・アウトできる――ソレーアのほうから契約を打ち切る――権利がついていた。こちらは、マンシーと同じく打席数による出来高を含め、オプト・アウトしない場合の来シーズンの年俸は、当初の900万ドルから1300万ドルに増えていた。

 11月2日、ドジャースは、マンシーと2年2400万ドル(2024~25年)に1000万ドル(2026年)の球団オプションがついた延長契約を交わしたと発表した。来シーズンの球団オプションを、新たな2年契約+球団オプションと置き換えた、ということだ。

 マンシーのエージェンシーであるハブ・スポーツ・マネージメントによると、2年2400万ドルの内訳は、契約金が500万ドル、2024年の年俸が700万ドル、2025年の年俸は1200万ドル。ドジャースが球団オプションを破棄する際、マンシーに支払う解約金はないらしい。年平均額は1200万ドルだ。

 同じく11月2日、マイアミ・ヘラルドのクレイグ・ミシュによると、ソレーアは、オプト・アウトしてマーリンズからFAとなったという。

 マンシーは三塁、ソレーアはDHと外野を主なポジションとしていて、左打者と右打者の違いもあるが、バッティングがセールス・ポイントという点は共通する。年齢も近い。来シーズンの年齢(6月30日時点)は、33歳と32歳だ。マンシーは年平均1200万ドルの2年契約を得て、ソレーアは年俸1300万ドルを破棄した。

 マンシーの契約は、市場価値よりも安い気がする。2018年以降の6シーズン中、35本塁打を下回ったのは2シーズン、12本塁打の2020年と21本塁打の2022年だ。2020年は1チーム60試合の短縮シーズンだったので、5シーズンに4度の35本塁打以上という見方もできる。このスパンの計175本塁打は7位タイ。四球率15.3%に対し、三振率は24.7%だ。出塁率.356を記録している。

 ソレーアのここ6シーズンのホームランは、9本→48本→8本→27本→13本→36本。15本塁打未満の3シーズンは、いずれも出場75試合未満だ。このスパンの計141本塁打は26位タイ。四球率10.9%と三振率26.2%、出塁率.334を記録している。ちなみに、奇数の3シーズン、2019年と2021年と2023年の計111本塁打は、マンシーを4本上回る。

 おそらく、ソレーアは、複数年の契約を望んでいるのだろう。ただ、マーリンズから1年2035万5000ドル2032万5000ドルのクオリファイング・オファーを申し出られた場合は――マーリンズが提示するかどうかは微妙なところだが――受け入れるかもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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