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レッズ一筋の40歳は「少なくともあと1年」の現役続行を希望。通算本塁打は356本、出塁率は.409

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョーイ・ボトー(シンシナティ・レッズ)Sep 24, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 10月6日、ジョーイ・ボトー(シンシナティ・レッズ)は、ポッドキャストの「ダン・パトリック・ショー」に出演し、少なくともあと1年はプレーしたい、と語った。

 ボトーとレッズが交わしている、10年2億2500万ドルの契約は、今シーズンまでだ。来シーズンは、年俸2000万ドルの球団オプション。レッズがオプションを破棄する際には、ボトーに700万ドルの解約金を支払う。

 2002年のドラフトで、ボトーはレッズから2巡目・全体44位指名を受けた。この年、ボトーの前にレッズが指名した2人は、メジャーデビューできなかった。それどころか、レッズに入団した選手のうち、ボトーの他にメジャーリーガーとなったのは、19巡目・全体555位のクリス・デノーフィアしかない。

 ちなみに、全体1位としてピッツバーグ・パイレーツに指名されたブライアン・バリントンは、メジャーリーグ通算26登板。その後、広島東洋カープとオリックス・バファローズでも投げた。

 2007年9月にデビューしたボトーは、一度もFAにならず、レッズでプレーしてきた。出場2056試合はレッズ史上6位、2135安打は5位、356本塁打と459二塁打は2位、1144打点は3位。1365四球と1640三振は最多だ。出塁率.409とOPS.920は、レッズで1000打席以上の222人中、どちらも2番目に高い。出塁率は.415のジョー・モーガン、OPSは.943のフランク・ロビンソンに次ぐ。

 2010年のMVP投票では、32人中31人から1位票を得た(あとの1人は、アルバート・プーホルスを1位に挙げた)。レッズのMVPは、1995年のバリー・ラーキン以来。ボトーの後に受賞した選手はいない。

 また、2017年は、MVPのジャンカルロ・スタントン(当時マイアミ・マーリンズ/現ニューヨーク・ヤンキース)と2ポイント差の2位。30人中10人から1位票は、スタントンと同じだった。

 ボトーは、レッズ残留を希望しているものの、そうならない場合は、他でプレーすることも検討するという。

 レッズの一塁とDHは、空いているとは言い難い。ルーキーのスペンサー・スティーアークリスチャン・エンカーナシオン-ストランドをはじめ、候補は多い。今シーズン、スティーアーは156試合で出塁率.356、23本塁打、OPS.820、エンカーナシオン-ストランドは63試合で出塁率.328、13本塁打、OPS.805を記録した。彼らの年齢は、25歳と23歳だ。

 先月、ボトーは40歳の誕生日を迎えた。2022年も2023年も出場試合は二桁にとどまり、計156試合で25本のホームランを打っているものの、出塁率は両シーズンとも.320に届かなかった。この出塁率は、打率.205と.202が大きな理由だが、11.7%と11.2%の出塁率も、ボトーの水準からすると低い。

 レッズを退団することになっても、マイナーリーグ契約ではなく、どこかの球団からメジャーリーグ契約を得ることはできるだろう。だが、レギュラーの一塁手あるいはDHとして、ボトーと契約を交わす球団は少なそうだ。レッズを含め、来シーズンのポストシーズン進出をめざす球団、コンテンダーに限ると、皆無かもしれない。

 トロント・ブルージェイズは、ボトーの故郷に本拠を構え、一塁にはブラディミール・ゲレーロJr.がいるものの、DHのブランドン・ベルトは今オフにFAとなる。もっとも、今シーズン、ベルトは103試合に出場し、出塁率.369、19本塁打、OPS.858を記録した。ブルージェイズは、3シーズン続けて89勝以上を挙げ、2シーズン続けてワイルドカードをゲットしている。

 ボトーの今シーズンのラスト・ゲームについては、こちらで書いた。

「200勝に到達した投手のラスト・ゲームは「代打出場」。356本塁打の一塁手は「退場」が最後になる!?」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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