このGMの辞任は、新たな人物がやってきて、自分が編成部門のトップでなくなったことだけが理由なのか
10月5日、ニューヨーク・メッツのGMだったビリー・エプラーが辞任した。エプラーは「デビッドには白紙の状態で臨んでもらいたく、それは私の辞任を意味する」と声明を出した。
先月、メッツは、ミルウォーキー・ブルワーズのアドバイザーだったデビッド・スターンズを、編成部門の責任者として迎え入れた(就任会見は今月に入ってから)。立場としては、GMの上に位置する。オーナーのスティーブ・コーエンは、スターンズ-エプラー体制を敷くつもりだったようだ。
スターンズは、2015年10月にブルワーズのGMに就任し、2019年1月に編成部門の責任者へ昇格した。そして、昨年10月にアドバイザーとなった。
エプラーの辞任は、スターンズがやってきたことで、自分の権限が縮小されることを嫌ったように見える。これまで、エプラーの上に、そういった人物はいなかった。
だが、そうではない、あるいはそれだけが理由ではないのかもしれない。ニューヨーク・ポストのマイク・プーマ、ジョエル・シャーマンらの記事によると、今シーズン、メッツは故障者リストを不適切に利用した可能性があり、MLB機構による調査が行われているという。
簡単に言うと、ある選手をロースターに加えるため、健康な別の選手を故障者リストに入れていたということだ。この手法は今に始まったことではないが、その頻度などが度を越えていたのだろうか。
白紙の状態ではなく、スターンズに負の状態を引き継がせないため、エプラーは辞任を余儀なくされた――。これが真相であっても、不思議ではない。
なお、エプラーが辞任する数日前には、監督を務めていたバック・ショーウォルターが解任されている。こちらは、スターンズの意向らしい。
後任の監督には、スターンズにとって旧知の人物、ブルワーズのクレイグ・カウンセル監督が就任する可能性もある。
カウンセルは、2015年のシーズン序盤から、ブルワーズの監督を務めてきた。以来、ブルワーズは、2018年~21年と今シーズンの5度、ポストシーズンに進出している。
スターンズがカウンセルを監督に招聘しても、引き抜きにはならない。ブルワーズがカウンセルと交わしている3年契約は、今シーズンまでだ。