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1試合2本塁打で「40-40」にリーチをかける。盗塁は70まであと3。それでもMVPを逃す可能性も

宇根夏樹ベースボール・ライター
ロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)Sep 19, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月19日、ロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)は、シーズン38本目と39本目のホームランを打ち、「40-40」にリーチをかけた。盗塁はすでに40を超え、67を数える。この試合では、ホームランとホームランの間に、二盗を成功させた

 ESPNスタッツ&インフォによると、同じ試合でホームランと盗塁の両方を記録したのは、今シーズン12度目。1900年以降では2番目に多いボビー・ボンズ(1973年)と並び、その上には、13試合のリッキー・ヘンダーソン(1986年)しかいないという。

「40-40」は、ホゼ・カンセコ(1988年)、バリー・ボンズ(1996年)、アレックス・ロドリゲス(1998年)、アルフォンソ・ソリアーノ(2006年)が達成している。4人とも、ホームランも盗塁も50未満だったが、アクーニャJr.の盗塁は60以上だ。10区切りの数字を揃えなければ、現時点のアクーニャJr.は「30-60」だ。あと1本塁打と3盗塁を積み上げると「40-70」となる。

 アクーニャJr.の前に「30-60」を記録した選手はいなかった。当然ながら、「40-70」も皆無だ。

 しかも、今シーズンのアクーニャJr.は、パワーとスピードを発揮するだけでなく、打率.338と出塁率.418も記録している。OPSは1.014だ。

 それでも、MVPを受賞できるかどうかは、まだわからない。ロサンゼルス・ドジャースの2人とアクーニャJr.のチームメイト、ムーキー・ベッツフレディ・フリーマンマット・オルソンにも、可能性はありそうだ。

 これまでの「40-40」達成者のうち、そのシーズンのMVPに選ばれたのは、1人目のカンセコだけ。あとの3人は、トップ3にもランクインしていない。5位、9位、6位だ。

 各シーズンのMVP受賞者と「40-40」を達成した選手のスタッツは、以下のとおり。1988年のア・リーグはカンセコと2位のマイク・グリーンウェル、今シーズンのナ・リーグは候補と思われる4人を記載した。

筆者作成
筆者作成

 アクーニャJr.とベッツは外野手、フリーマンとオルソンは一塁手だ。外野では、アクーニャJr.もベッツもライトを守っているだが、ベッツはそれに加え、二塁手と遊撃手としてもプレーしている。この点は、高く評価されてもおかしくない気がする。ベッツの先発出場は、ライトが74試合、二塁が54試合、遊撃は12試合だ。

 なお、フリーマンのホームランは、オルソンの半数に過ぎないものの、56本の二塁打を打っている。ナ・リーグで40二塁打以上は、他に皆無。レギュラーシーズンが終わるまでにあと4本増やすと、87年ぶり、史上7人目の60二塁打となる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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