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エンジェルスの8年連続負け越しは球団記録を更新。継続中の負け越しがエンジェルスよりも長いのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ケリー・カーペンター(左)とローガン・オホッピー Sep 16, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月17日、ロサンゼルス・エンジェルスは、3対5でデトロイト・タイガースに敗れた。

 今シーズンの82敗目だ。8年連続の負け越しが決まり、1971~77年に記録した7年連続負け越しを上回った。1961年の創設以来、エンジェルスが4年以上続けて負け越したスパンは、この2度しかない。3番目に長いのは、1992~94年の3年連続負け越し――1990年に負け越して1991年は勝率.500ちょうどなので、5年連続勝ち越しなし――だ。

 ピッツバーグ・パイレーツが1993~2012年に記録した20年連続負け越しと比べると、現在のエンジェルスのストリークは、まだ半分の長さにも達していない。ただ、継続しているなかでは、最も長い。

 次いで長いのは、エンジェルスの翌年、2017年にストリークをスタートさせた、カンザスシティ・ロイヤルズとタイガースだ。今シーズン、ロイヤルズはすでに102敗を喫している。7年連続負け越しだ。タイガースも、エンジェルスをスウィープしても、借金9の70勝79敗。負け越しを免れることは、できそうにない。一方、同じく2017年から負け越しが続いていたテキサス・レンジャーズは、9月14日にシーズン82勝目を挙げ、このストリークに終止符を打った。

 ただ、継続中では最長ながら、エンジェルスがめざすべき真のゴールは、負け越しのストリークを止めることではなく、2014年を最後に遠ざかるポストシーズンへ進むことのはずだ。9年連続ポストシーズン進出なしは、こちらも継続中の最長。タイガースと並んでいる。

 エンジェルスがポストシーズン進出を果たすためには――オーナーがそうできるかどうかには疑問が残るものの――あと数年続けて負け越すことを覚悟した上で、きちんと再建に取り組む必要があるような気がする。

 今シーズン、ア・リーグ西地区からは、3チームがポストシーズンに進む可能性もある。現在、ヒューストン・アストロズは地区首位、レンジャーズはワイルドカード・レースの3位だ。シアトル・マリナーズは、レンジャーズと1ゲーム差。ワイルドカード・レースにおいて、レンジャーズの上に位置するトロント・ブルージェイズとも、1.5ゲームしか離れていない。

 ア・リーグ西地区にいるエンジェルスが白星を積み上げ、ポストシーズンにたどり着くのは、来シーズンも容易ではない。

 再建を始めるのであれば、コアとなるのは、捕手のローガン・オホッピーだろう。オホッピーは23歳と若く、2028年のシーズンが終わるまで、FAにはならない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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