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今年限りで引退のベテランが199勝目を挙げる。200勝到達のチャンスはあと3登板

宇根夏樹ベースボール・ライター
アダム・ウェインライト(セントルイス・カーディナルス)Sep 12, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月12日、先発マウンドに上がったアダム・ウェインライト(セントルイス・カーディナルス)は、最初の4イニングともボルティモア・オリオールズに得点を許さず、5回裏に2点を取られたものの、同点に追いつかれることはなく、リードしたままでイニングを終わらせた。

 その後は、4人のリリーバーが無失点で切り抜け、カーディナルスは7回表に2点を追加。5対2で勝利を収め、ウェインライトは白星を手にした。シーズン4勝目、通算199勝目だ。

 先月下旬に42歳となったウェインライトは、今シーズン限りでユニフォームを脱ぐ。カーディナルスのレギュラーシーズンは、あと17試合。ウェインライトの登板は、あと3試合だろう。予定どおりにいけば、9月18日、23日、29日に、それぞれ、ミルウォーキー・ブルワーズ、サンディエゴ・パドレス、シンシナティ・レッズに対して投げると思われる。

 198勝目を挙げたのは、6月17日だ。そこから199勝目まで、3ヵ月近いブランクがあり、11登板で10敗を喫した。

 この11登板の防御率10.72からすると、仕方がないようにも思える。シーズン全体の防御率も、20登板目の9月12日を含め、7.95と高い。ウェインライトの通算防御率は3.54。直近の4シーズン(2019~22年)は、いずれも規定投球回以上を投げ、各シーズンの防御率は4.19→3.15→3.05→3.71と推移していた。

 今シーズンの白星が少ないのは、ウェインライト自身の投球だけでなく、カーディナルスの弱さも要因の一つだろう。5イニング以上を投げて自責点3以下の9登板中、ウェインライトが勝利投手となったのは、9月12日が3登板目だ。

 カーディナルスのシーズン負け越しは、2007年が最後。今シーズンは、16年ぶりの負け越しまで、あと1敗に迫っている。ちなみに、2007年は、ウェインライトのメジャーリーグ3年目。前年にリリーバーとして61試合に登板し、この年からローテーションに加わった。メジャーデビュー前にアトランタ・ブレーブスからカーディナルスへ移ったウェインライトは、その後、一度も移籍していない。

 その一方で、カーディナルスが低迷しているからこそ、ウェインライトは投げ続けることができている、という見方もできる。過去4シーズンとも、カーディナルスは、ポストシーズンへ進んでいる。今シーズンもそうなりそうであれば、ウェインライトはローテーションから外されていたはずだ。カーディナルスは、6月を終えた時点で、地区首位からもワイルカードの3番手からも、10ゲーム以上離されていた。

 引退を撤回しない限り、ウェインライトは、199勝、200勝、201勝、202勝のいずれかでキャリアを終える。すでに引退している投手のなかに、200勝ちょうどは4人いて、201勝も2人ながら、199勝と202勝はいない。

 もちろん、199勝のままでも、ウェインライトが素晴らしい投手であることに変わりはない。なかでも、全盛期のカーブは抜群だった。

 200勝ちょうどの投手については、こちらで書いた。

「「200勝ちょうど」で引退はレスター以外に何人いる!? 日本プロ野球は1人だけ」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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