全ての責任は本当に監督にあるのか?同学年の西武・松井稼頭央監督の休養を上原浩治が分析
勝負の世界の厳しさを痛感させられる出来事だった。
プロ野球・西武で指揮を執っていた同学年の松井稼頭央監督の休養が発表された。
「厳しい戦いが続いている中、変わらず声援を送り続けてくださるライオンズファンの皆さまの期待に応えられず、大変申し訳なく思っております」
休養発表後のコメントからも無念さがみてとれる。
就任1年目は65勝77敗1分の5位で、2年目の今季も休養前の時点で15勝30敗の最下位。成績だけをみれば、この時点での休養も仕方がないのかもしれないが、戦力は外から見ている限りでも、かなり厳しい状況だった。
特に打線は、1年目に森友哉選手がフリーエージェント(FA)でオリックスへ移籍し、主軸の山川穂高選手も不祥事で途中離脱。山川選手は今季からは同じパ・リーグのソフトバンクへと移った。そんな中で、新外国人の誤算が響き、代わりになる選手の補強が実ったわけではない。
5月26日現在で規定打席に到達している野手はリーグ全体で30人いるが、西武は源田壮亮、外崎修汰、佐藤龍世の3選手のみで、源田選手の打率・242(全体17位)が最高と低迷する。外野手は一人も規定打席に達しておらず、レギュラーが固定できていない現状を物語る。チーム打率、得点ともにリーグ最下位で接戦を取れないケースが目立った。盤石とみられた投手陣もエース格の平良が離脱するなど、思うような采配は振るえなかったのではないだろうか。
8連敗の後、2連勝して交流戦へというタイミングだったが、ここまでの成績不振の責任を取らされる形になったともいえる。監督は、預かった選手たちを最大限に生かして結果を残していくことが役割になるだろう。大事な局面や選手起用などで、指揮を執る責任は確かに重い。しかし、近年の西武をみていると、毎年のように中心選手が外へ出ていっている。こうした中で、グラウンドの中だけで対処していくことには限界もあるように思う。フロントのバックアップは万全だったか、チームはどういう方針でシーズンを戦おうとしていたのか、結果の全てが現場の監督にあるとは思えないのが正直な気持ちだ。
チーム強化は、ドラフトや外国人による即戦力の補強、中長期的な視野で育成する若い年代の選手たち、さらには脇を固める選手をトレードなどで補い、ようやくチームとしての「形」がみえてくる。フロントと現場でどのような戦略が描かれ、共有されていたのかはわからないが、現状の西武の戦力では上位チームとの差は明らかでもある。
8日の中日との交流戦初戦から渡辺久信ゼネラルマネジャー(GM)が監督代行を兼務する。チームをよく知り、監督としての手腕も評価が高い渡辺GMゆえに、カンフル剤としての期待は高く、チームを再浮上させるきっかけをどう作っていくか楽しみな面もある。
一方で、稼頭央もチームのレジェンドの一人だ。メジャーでもプレーし、2軍監督や1軍ヘッドコーチを務めるなど、チームも将来の監督候補として経験を積ませてきた。時間は必要になるだろうが、同学年の球界OBとして個人的には、いつかの「再登板」を応援している。