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通算打率の歴代トップが入れ替わる。打率.367のタイ・カッブを上回るのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
殿堂博物館 Jul 21, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 現在、通算打率のトップには、タイ・カッブが位置している。カッブは、1905~28年にデトロイト・タイガースとフィラデルフィア・アスレティックスでプレーし、打率.367(11429打数4191安打)を記録した。

 これは、MLB.comの数値だ。ベースボール・リファレンスとファングラフスは、カッブの打率を.366としている。11440打数4189安打と11434打数4189安打だ。

 まもなく、通算打率の歴代1位は、カッブではなくなるようだ。USAトゥディのボブ・ナイテンゲールによると、5月29日に、ニグロリーグのスタッツが公式なメジャーリーグ記録となり、打率.372のジョシュ・ギブソンがカッブを上回るという。

 ギブソンは、1930年、1933~40年、1942~46年に、ニグロリーグでプレーした。ギブソンの通算打率は、MLB.comだけでなく、ベースボール・リファレンスとファングラフスのどちらにおいても.370を超えている。それぞれの数値は、打率.373(2168打数808安打)と打率.374(2155打数806安打)だ。

 ギブソンの通算打席は2500前後なので、2000打席以上か2500打席以上の通算打率トップ、ということだと思われる。

 また、ギブソンの通算本塁打は166本あるいは165本ながら、殿堂のプラークには「17年間のキャリアにおいて、リーグとインディペンデント・ベースボール(リーグ以外の試合)で800本近いホームラン」と記してある。

 ギブソンは、「ブラック・ベーブ・ルース」と称された。あるいは、ベーブ・ルースを「ホワイト・ジョシュ・ギブソン」と呼ぶべきだという声もある。

 ジャッキー・ロビンソンが「人種の壁」を破ったのは、1947年だ。この年、ギブソンは、35歳の若さで亡くなった。殿堂入りは1972年。なお、ロビンソンは、1945年にニグロリーグでプレーしている。

 ちなみに、現役選手の通算打率トップ(2000打席以上)は、ルイス・アライズ(サンディエゴ・パドレス)だ。打率.326(2215打数723安打)を記録している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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