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「200勝ちょうど」で引退はレスター以外に何人いる!? 日本プロ野球は1人だけ

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジョン・レスター OCTOBER 23, 2013(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ジョン・レスターが、引退を表明した。

 2006年から昨年までの16シーズンに、レスターは、200勝117敗、防御率3.66を記録した。200勝の内訳は、ボストン・レッドソックスで110勝、オークランド・アスレティックスで6勝、シカゴ・カブスで77勝、ワシントン・ナショナルズで3勝、セントルイス・カーディナルスで4勝だ。

 ちょうど200勝でキャリアを終えた投手は、初めてではない。ニグロリーグを除き、レスターが4人目だ。ジョージ・ユーリーが200勝166敗、防御率3.99、チャック・フィンリーが200勝173敗、防御率3.85、ナックルボーラーのティム・ウェイクフィールドは、200勝180敗、防御率4.41を記録した。

 4人のうち、ウェイクフィールドとレスターは、2006年から2011年まで、レッドソックスでともに投げた。ウェイクフィールドが200勝目を挙げた時、レスターの通算勝利は76だった。2人とも、200勝に到達後、先発マウンドに2度上がり、キャリアを終えた。ウェイクフィールドは、2012年2月に引退を表明した。

 ユーリーの200勝目は、ラスト・イヤーの1936年ではなく、その前の1934年だ。1938~39年は、マイナーリーグで投げた。フィンリーが2002年に200勝に到達したのは、キャリア最後の524登板目だ。その直前の523登板目に白星を挙げ、200勝にリーチをかけた。ただ、登板はこの2試合で終わりではなく、2002年のディビジョン・シリーズとリーグ・チャンピオンシップ・シリーズでそれぞれ1試合。いずれも先発投手として投げ、1試合目は自身に勝敗こそつかなかったものの、7回途中まで得点を許さず、2試合目は勝利投手となった。ポストシーズンの通算7登板中、白星を手にしたのはこの試合だけだ。

 また、殿堂投手のレフティ・グローブアーリー・ウィンは、300勝ちょうどでキャリアを終えている。400勝あるいは500勝ちょうどの投手はいない。

 日本プロ野球では、藤本英雄が200勝ちょうど、金田正一は400勝ちょうどだ。藤本は、1955年10月11日のダブルヘッダー2試合目に、リリーフとして5イニングを投げ、被安打1本、無失点で200勝に到達。この登板を最後に、キャリアを終えた。ちなみに、野茂英雄は、日米で計201勝を挙げた。日本プロ野球で78勝、メジャーリーグで123勝だ。

筆者作成
筆者作成

 なお、レスターが長く投げた2チーム、レッドソックスとカブスの通算防御率は、厳密に言えばまったく同じではないものの、どちらも3.64だ。それぞれ、110勝63敗と77勝44敗。その勝率は、ともに.636となる。レスターは、この2チームのいずれでも、ワールドシリーズ優勝を味わった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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