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「リーグ一番乗りの40本塁打」は本塁打王になっているのか。今年の一番乗りは大谷翔平とマット・オルソン

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平とマット・オルソン May 29, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズン、ここまでに40本以上のホームランを打っている選手は、各リーグに1人ずついる。ア・リーグは大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)、ナ・リーグはマット・オルソン(アトランタ・ブレーブス)だ。

 大谷は、8月3日に40本目のホームランを打った。オルソンの40本目は、大谷の1週間後だった。8月12日を終えた時点のホームランは、それぞれ、40本と42本だ。

 今世紀に入ってから、40本塁打のリーグ一番乗りは、見落としがなければ、延べ38人を数える。今シーズンの2人が、37人目と38人目だ。2001~23年の23シーズン×2リーグ=46人ではない。両リーグとも40本塁打以上が皆無だったのは、短縮シーズンの2020年しかないが、他に、一方のリーグの全選手が40本塁打未満というシーズンが何度かある。

 今シーズンの2人を除くと、リーグで最初に40本目のホームランを打った36人のうち、86.1%の31人は、そのシーズンに本塁打王を獲得している。一方、13.9%の5人は、40本塁打に到達後、他の選手に追い抜かれ、本塁打王を逃した。後者は、2003年のバリー・ボンズ、2012年のジョシュ・ハミルトン、2019年のマイク・トラウト(エンジェルス)とコディ・ベリンジャー(当時ロサンゼルス・ドジャース/現シカゴ・カブス)に、2021年の大谷がそうだ。

 この5人が40本塁打に達した時点のリーグ・トップ5の顔ぶれと本数、シーズン全体の本数(順位)は以下のとおり。

筆者作成
筆者作成

 5人のうち、2019年のトラウトは、9月5日に45本目のホームランを打ち、その時点でもホルヘ・ソレーア(当時カンザスシティ・ロイヤルズ/現マイアミ・マーリンズ)に5本差をつけていたが、9月8日以降の19試合を欠場した。

 あとの4人は、自身のペースダウンと他の選手のペースアップが重なった。例えば、2021年の大谷の場合、8月18日に40本目のホームランを打った後は6本塁打。それに対し、8月18日の時点で2位~5位タイに位置していた6人は、いずれもそこから9本塁打以上を積み上げた。それぞれのプラスの本数は、サルバドール・ペレス(ロイヤルズ)が18本、マーカス・シミエン(当時トロント・ブルージェイズ/現テキサス・レンジャーズ)が16本、ブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)が13本で、他の3人は9本ずつだ。

 もっとも、今シーズンの大谷は、あと6本をプラスし、2年前と同じ本数とすれば、本塁打王を獲得するのではないだろうか。

 現時点のア・リーグ本塁打トップ5は、40本の大谷、31本のルイス・ロバートJr.(シカゴ・ホワイトソックス)、29本のアドリス・ガルシア(レンジャーズ)、26本のラファエル・デバース(ボストン・レッドソックス)、25本のジェイク・バーガー(ホワイトソックス/現マーリンズ)だ。24本以上の選手は、他にいない。ちなみに、アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)は、8位タイの22本だ。

 ロバートJr.は、8月9日に右手の薬指を痛め、その後の2試合は、代走と欠場。ホワイトソックスにポストシーズン進出の可能性はほぼなく、無理をして出場させる必要はない。球団オプションを含めると、ホワイトソックスは2027年までロバートJr.を保有できる。

 ロバートJr.とチームメイトだったバーガーは、ナ・リーグのマーリンズへ移籍したので、ア・リーグにおける本数は増えない。8月5日に、ナ・リーグ1本目(シーズン26本目)のホームランを打っている。

 一方、ナ・リーグの本塁打トップ5は、42本のオルソン、35本のピート・アロンゾ(ニューヨーク・メッツ)、31本のムーキー・ベッツ(ドジャース)、30本のカイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)に、5位タイは28本のソレーアら4人だ。

 オルソンは、後半の26試合で13本塁打を記録している。このままいくと、シーズン全体で60本塁打に到達してもおかしくなく、そうなれば、本塁打王はまず間違いない。

 もちろん、ペースダウンもあり得る。また、実績のあるライバルが多いことも、目につく。ア・リーグの2位~5位と違い、ナ・リーグの2位~5位タイには、過去に本塁打王を獲得している選手が3人いる。アロンゾは2019年のナ・リーグ本塁打王(53本)、シュワーバーは昨シーズンのナ・リーグ本塁打王(46本)、ソレーアは2019年のア・リーグ本塁打王(48本)だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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