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ゲレーロJr.が5年ぶりに三塁手として先発出場。守備はうまくなく、その狙いはどこにあるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブラディミール・ゲレーロJr.(左)とボー・ビシェット Jun 2, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月2日、ブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)は、「3番・三塁」として出場した。

 三塁手としてスターティング・ラインナップに並ぶのは、メジャーリーグ1年目の2019年以来だ。このシーズンの先発出場は、三塁が94試合とDHが24試合だが、17失策を犯し、悪送球を除く13失策は、両リーグの三塁手のなかで2番目に多かった。OAA-20はワースト。二桁のマイナスを記録した三塁手は、他にいなかった。

 メジャーリーグ2年目以降は、一塁手(とDH)としてプレーしてきた。2020~23年の4シーズンに三塁を守ったのは、2021年と2022年に試合途中から1度ずつ、計4.0イニングに過ぎなかった。

 ただ、ゲレーロJr.に三塁を守らせれば、ジャスティン・ターナーダニエル・ボーゲルバックをどちらも起用できる。

 前日の時点で、ブルージェイズの1試合平均3.96得点は両リーグ23位。出塁率.313は平均よりわずかに上ながら、1試合平均のホームラン0.88本は両リーグで6番目に少なく、ISO.138はワースト10位に位置していた。

 三塁の先発出場が20試合以上の2人、アイザイア・カイナー-ファレファアーニー・クレメントは、どちらもパワーに欠ける。

 なお、ISOの計算式は「長打率-打率」だ。例えば、すべてシングル・ヒットで10打数10安打なら、「塁打÷打数」の長打率は、長打が0本にもかかわらず、10塁打÷10打数=1.000となる。それに対し、この場合のISOは、長打率1.000-打率1.000=.000だ。

 ボーゲルバックは、メジャーリーグでもマイナーリーグでも、一塁以外の守備についたことがない。ターナーは、2022年まで三塁をメインとしてきたが、現在の年齢は39歳。一方、ゲレーロJr.は、まだ25歳だ。

 今シーズン、ターナーは、三塁手として4試合に先発出場しているものの、3人を起用できる別のバリエーションも試してみよう、ということなのかもしれない。あるいは、ターナーが三塁を守ることに、何らかの不都合や不安が生じている可能性もなくはない。三塁の先発出場は、5月7日が最後(4試合目)だ。

 6月2日の試合に、ボーゲルバックは「5番・DH」、ターナーは「6番・一塁」として出場した。ターナーは4打数0安打ながら、4打数1安打のゲレーロJr.と4打数2安打のボーゲルバックは、それぞれ、1打点と2打点を挙げた。

 5対3とリードして迎えた9回表は、ドールトン・バーショーがセンターからレフト、デイビス・シュナイダーがレフトから二塁、カイナー-ファレファが二塁から三塁、ゲレーロJr.が三塁から一塁へ移り、ターナーと交代したケビン・キアマイアーは、センターの守備についた。ブルージェイズは、1点差に詰め寄られたものの、追いつかれることなく試合を終えた。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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