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大谷をトレードで放出せず、先発投手とリリーフ投手を獲得したエンジェルスは、さらなる補強を行うのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジェイマー・キャンデラリオ(ワシントン・ナショナルズ)May 31, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・エンジェルスは、大谷翔平をトレードで放出せず、今秋のポストシーズン進出(と大谷との再契約)をめざす。

 7月26日、エンジェルスは、AAでプレーしていた2人のマイナーリーガー、捕手のエドガー・クエロと先発投手のカイ・ブッシュをシカゴ・ホワイトソックスへ放出し、先発投手のルーカス・ジオリトとリリーフ投手のレイナルド・ロペスを獲得した。

 大谷と同じく、ジオリトとロペスも、今オフにFAとなる。エンジェルスは、来シーズン以降のことは脇に置き、今シーズンに「オール・イン」し、すべてを賭けるということだ。ここから、8月1日のトレード・デッドラインまでに、さらなる補強を行う可能性もある。ジオリトとロペスを獲得した直後に、MLB.comのジョン・モロシは、エンジェルスがワシントン・ナショナルズとジェイマー・キャンデラリオのトレードについて話し合っている、と報じた。

 キャンデラリオは、スイッチ・ヒッターの三塁手だ。一塁も守れる。こちらも、FAまで数ヵ月だ。今シーズンは、打率.256と出塁率.336、16本塁打と29二塁打を記録している。ホームランは2018年の19本が最多ながら、2021年は42本の二塁打を打った。この本数は、ブライス・ハーパー(フィラデルフィア・フィリーズ)ら3人と並び、両リーグで最も多かった。

 それほど大きな見返りでなくても、ナショナルズはキャンデラリオを手放すだろう。今秋、ナショナルズのポストシーズン進出は、まずあり得ない。また、キャンデラリオをこのまま保有した場合、クオリファイング・オファーを申し出るとは思えないので、何の見返りも得られない。

 ちなみに、エンジェルスは大谷にクオリファイング・オファーを申し出る――大谷はそれを断る――だろうが、ジオリトとロペスはシーズン途中に移籍したので、クオリファイング・オファーの対象外だ。

 ただ、複数の球団がキャンデラリオの獲得に動いた場合、エンジェルスが手に入れられるかどうかには疑問が残る。ナショナルズは、各球団に提示された見返りを比較し、そこから選ぶことができる。エンジェルスには、目を惹くようなプロスペクトがいない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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