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打率4割は無理でもイチローが記録した「今世紀最高のシーズン打率」を上回る可能性はあり

宇根夏樹ベースボール・ライター
ルイス・アライズ(マイアミ・マーリンズ)Jul 4, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 どうやら、「最後の4割打者」は、1941年に打率.406を記録したテッド・ウィリアムズのまま、ということになりそうだ。

 ここまで、ルイス・アライズ(マイアミ・マーリンズ)は、打率.376(356打数134安打)を記録している。

 600打数で打率.400以上とするには、ここから、打率.434(244打数106安打)以上が必要となる。356打数+244打数=600打数、134安打+106安打=240安打、600打数240安打で打率.400ちょうどだ。

 500打数の場合は打率.458(144打数66安打)以上、700打数なら打率.424(344打数146安打)以上を要する。

 不可能ではないとはいえ、ハードルは極めて高い。

 アライズの月間打率は、3・4月が.438、5月が.330、6月が.406、7月はここまで.312だ。5月と7月を除き、3・4月と6月を合算すると打率.421(195打数82安打)だが、ここからそれを再現しても、シーズン打率は.400に届かない。

 356打数+195打数=551打数、134安打+82安打=216安打、551打数216安打で打率.392だ。

 ただ、アライズは、「今世紀最高のシーズン打率」を更新してもおかしくない。

 2001年以降のシーズン打率トップ20は、以下のとおり。

筆者作成
筆者作成

 最も高いのは、2004年にイチローが記録した打率.372だ。現時点のアライズの打率は、それをわずかに上回っている。

 例えば、ここからの打率が、5月と6月を合算した.369(206打数76安打)と同じなら、シーズン全体の打率は.374(562打数210安打)となる。

 また、ア・リーグでは、コリー・シーガー(テキサス・レンジャーズ)が打率.346(260打数90安打)を記録している。打席数はレンジャーズの試合数×3.1に達していないものの、不足は10打席未満。今月が終わる頃には、ア・リーグ打率ランキングのトップに位置するはずだ。

 打数が少ない分、打率の変動幅は上下のどちらも大きく、予測は難しいが、シーガーも、アライズとともに、今世紀のシーズン打率トップ20に名を連ねるかもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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