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昨年タイトルを獲得した投手たちの今シーズン前半はどうだったのか。最多勝投手はここまで0勝

宇根夏樹ベースボール・ライター
カイル・ライト(アトランタ・ブレーブス)Apr 27, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨シーズン、カイル・ライト(アトランタ・ブレーブス)は、防御率3.19とブレイクし、両リーグ最多の21勝を挙げた。だが、今シーズンは、まだ白星を手にしていない。右肩を痛めて開幕に出遅れ、4月から5月にかけて5試合に登板したところで、再び故障者リストに入った。ここまでの防御率は5.79。復帰は、8月以降になりそうだ。

 カイルは、2017年のドラフト全体5位。現在の年齢は、27歳だ。

 昨シーズン、各リーグ・ベストの防御率を記録したフリオ・ウリーアス(ロサンゼルス・ドジャース)とジャスティン・バーランダー(当時ヒューストン・アストロズ/現ニューヨーク・メッツ)も、ライトほど長期の離脱ではないとはいえ、故障者リストに入り、今シーズンは2人とも、12登板にとどまっている。

 今オフ、ウリーアスはFAとなる。ここから、健康を保ち、過去数年のような投球ができるどうかによって、FA市場における評価は変動しそうだ。シーズン後半の最初の試合で、ウリーアスとバーランダーは投げ合う。

筆者作成
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 それぞれのリーグで最も多くの三振を奪ったコービン・バーンズ(ミルウォーキー・ブルワーズ)とゲリット・コール(ニューヨーク・ヤンキース)は、今シーズンもローテーションを守っていて、どちらも、3年続けてオールスター・ゲームのメンバーに選ばれた。コールは、開催中止の2020年を挟み、2018年から5度連続の選出だ。

 ただ、昨シーズンと今シーズンの前半を比べると、どちらも奪三振率は2.00以上の低下。バーンズは10.83→8.55、コールは11.53→9.46だ。それでも、コールの防御率は3.50→2.85。エースとして、ヤンキースを支えている。一方、バーンズの防御率は2.94→3.94だ。

 エマニュエル・クラッセ(クリーブランド・ガーディアンズ)は、昨シーズンに続き、セーブを積み重ねているものの、今シーズンのセーブ失敗は7度を数え、すでに昨シーズン全体を3度上回る。昨オフにブレーブスからボストン・レッドソックスへ移籍したケンリー・ジャンセンは、昨シーズンのセーブ失敗7度に対し、今シーズンは3度。セーブ成功率は、ほとんど変わっていない。

 タイトルではないが、昨シーズン、各リーグ1位の奪三振率を記録した2人のうち、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)の数値は今シーズンも高く、ア・リーグではケビン・ゴーズマン(トロント・ブルージェイズ)の11.90に次ぐ。サンフランシスコ・ジャイアンツからヤンキースへ移ったカルロス・ロドーンは、オールスター・ブレイクの直前に、ようやくシーズン初登板。奪三振は2ながら、5.1イニングを投げて2失点に抑えた。

 登板までのロドーンについては、こちらで書いた。

「6年1億6200万ドルで入団の左腕がいよいよシーズン初登板へ。リハビリ登板で15人中8人から奪三振」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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