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9回裏1死一、二塁から内野フライで試合が終わる。2アウトではなく3アウトになったのはなぜ!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ボルティモア・オリオールズ May 23, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月23日、9回裏を迎えた時点で、シカゴ・ホワイトソックスは、ボルティモア・オリオールズに6点リードされていた。

 そこから、四球、四球、シングル・ヒット、シングル・ヒット、死球、シングル・ヒットにより、ホワイトソックスは4点を挙げ、2点差に詰め寄った。なおも、無死一、二塁だ。

 けれども、代打のザック・デローシュが三振を喫したのに続き、アンドルー・ベニンテンディは内野フライに討ち取られ、試合は終わった。

 通常であれば、試合終了とはならない。三振と内野フライなので、ノーアウト→1アウト→2アウトと推移する。ただ、それに加え、二塁走者のアンドルー・ボーンが守備妨害を宣告され、アウトになった。

 ベニンテンディの打球は、遊撃手の定位置より少し前方に上がった。定位置ではなく、二塁ベースの後ろに位置していたガナー・ヘンダーソンは、前へ出てきて、フライを捕った。その際、歩いてベースへ戻ろうとしていたボーンは、ヘンダーソンの進路を阻む格好になった。

 これが守備妨害に該当するのかどうかは、疑問が残るところだ。ヘンダーソンは、すぐにボーンの横へ動き、そこから前進して落下地点に達した。捕球には、何の問題も生じなかった。打球が落ちてくる前に、両腕を水平に広げ、自分が捕ることを他の内野手に伝える余裕もあった。

 捕球直後のヘンダーソンは、なぜ試合終了となったのか、わからなかったようだ。ホワイトソックスのペドロ・グリフォール監督は、ダグアウトから出てきて審判に抗議したものの、判定は覆らなかった。

 ホワイトソックスはシーズン36敗目を喫し、オリオールズはシーズン30勝に到達した。この黒星が、ホワイトソックスのシーズン全体に影響を及ぼすことはないだろう。5月23日を終え、ホワイトソックスの勝率は.294。ア・リーグの他14チームは、いずれも勝率.400以上だ。

 だが、オリオールズにとって、この白星――守備妨害がなければ、そこからの逆転負けもあり得た――は、後々、意味を持ってくるかもしれない。オリオールズは、ア・リーグ東地区で、ニューヨーク・ヤンキースに次ぐ2位に位置している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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