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前半に負け越してポストシーズンに進出したチームはいくつあるのか。エンジェルスは借金1で折り返し

宇根夏樹ベースボール・ライター
マイク・トラウトのヘルメットなど Jun 27, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・エンジェルスは、7月3日からシーズン最長の5連敗を喫し、前半を借金1の45勝46敗で終えた。6月18日の時点では貯金8の41勝33敗だったが、そこからの17試合で4勝しかできなかった。

 1リーグ3地区となった1994年以降、シーズン前半に負け越し、ポストシーズンに進出したチームを探したところ、延べ11チームが見つかった。

筆者作成
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 1994~2022年のうち、ストライキによってシーズンが途中で打ち切られた1994年はポストシーズンがなく、2020年は新型コロナウイルスのパンデミックによって1チーム60試合の短縮シーズンとなり、前半と後半の境目となるオールスター・ゲームが中止された。

 1995~2019年と2021~22年のポストシーズンに進出した延べ238チームに占める、シーズン前半に負け越したチームの割合は、4.6%(11/238)だ。5%に満たない。

 他にも、2022年にスタートした現行のフォーマット、1リーグ6チームのポストシーズン進出――地区優勝3チームとワイルドカード3チーム――を遡って当てはめると、「前半負け越し→今日であればポストシーズン進出」のチームはある。例えば、2019年のニューヨーク・メッツは、借金10の40勝50敗で折り返し、シーズン後半に46勝26敗を記録した。トータルの86勝76敗は、ワイルドカード・レースの3番手に位置する。当時のワイルドカードは、1リーグ2チームだった。

 とはいえ、シーズン前半に負け越しながら、ポストシーズンにたどり着くのは、容易ではない。

 2008年のロサンゼルス・ドジャースの場合、シーズン前半は借金3の46勝49敗ながら、その時点でナ・リーグ西地区の2位にいた。首位のアリゾナ・ダイヤモンドバックスも、47勝48敗と負け越していて、両チームの差は1ゲームしかなかった。オールスター・ブレイク後は、ダイヤモンドバックスが35勝32敗、ドジャースは38勝29敗。トータルでは、ドジャースがダイヤモンドバックスに2ゲーム差をつけ、地区を制した。

 今シーズンのエンジェルスは、ア・リーグ西地区首位のテキサス・レンジャーズと7ゲーム差の4位にいる。ワイルドカード・レースの順位は7位タイ。地区首位の3チームを除いた12チーム中の順位なので、下から数えたほうが早い。こちらの2位に並び、ポストシーズン進出圏内にいるヒューストン・アストロズとトロント・ブルージェイズとの差は5ゲームだ。

 過去には、もっと離されていたチームがポストシーズンに進出した例もあるものの、エンジェルスがポストシーズンの切符を手にするには、ここから勝ち進むだけでなく、他チームの下降がないと難しいだろう。

 ア・リーグ西地区では、レンジャーズとエンジェルスの間に、アストロズとシアトル・マリナーズがいる。ワイルカード・レースにおいては、ポストシーズン進出圏内の3チームの他に、ニューヨーク・ヤンキース、ボストン・レッドソックス、マリナーズの3チームがエンジェルスの上に位置する。

 なお、ワイルドカード・レースでエンジェルスと並ぶミネソタ・ツインズは、ア・リーグ中地区の2位だ。首位のクリーブランド・ガーディアンズとの差は、0.5ゲームに過ぎない。

 エンジェルスは、マイク・トラウトを欠いたまま、シーズン後半に臨む。トラウトの離脱については、こちらで書いた。

「トラウトの骨折により、エンジェルスは沈んでいくのか。過去2シーズンの場合は…」

「マイク・トラウトが離脱していても大谷翔平はホームランを打てるのか。過去2シーズンの離脱時は…」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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