藤井聡太叡王（２１）＝八冠に伊藤匠七段（２１）が挑戦する第９期叡王戦（不二家主催）五番勝負は第３局までを終え２勝１敗で挑戦者伊藤七段が初タイトルまであと1勝としている。第４局は５月３１日、千葉県柏市「柏の葉カンファレンスセンター」で行われる。

　藤井叡王はタイトル保持者として戦った番勝負で初のカド番を迎えている。注目の第４局の勝敗と展開を、データを基に予想してみた。

＜第９期叡王戦五番勝負　これまでの結果と日程＞

第１局　４月７日　愛知県名古屋市「か茂免」

藤井叡王（先手）勝ち

第２局　４月２０日　石川県加賀市「アパリゾート佳水郷」

伊藤七段（先手）勝ち

第３局　５月２日　愛知県名古屋市「名古屋東急ホテル」

伊藤七段（後手）勝ち

第４局　５月３１日　千葉県柏市「柏の葉カンファレンスセンター」

第５局　６月２０日　山梨県甲府市「常磐ホテル」

伊藤七段流れをつかんだか

＜藤井叡王の最近１０局＞

３月３日　棋王戦コナミグループ杯五番勝負第３局

対伊藤七段　○

３月１７日　棋王戦コナミグループ杯五番勝負第４局

対伊藤七段　○

４月７日　叡王戦五番勝負第１局

対伊藤七段　○

４月１０、１１日　名人戦七番勝負第１局

対豊島将之九段　○

４月２０日　叡王戦五番勝負第２局

対伊藤七段　●

４月２３、２４日　名人戦七番勝負第２局

対豊島九段　○

５月２日　叡王戦五番勝負第３局

対伊藤七段　●

５月８、９日　名人戦七番勝負第３局

対豊島九段　○

５月１８、１９日　名人戦七番勝負第４局

対豊島九段　●

５月２５、２６日　名人戦七番勝負第５局

対豊島九段　○

＜伊藤七段の最近１０局＞（相手の肩書きは対局当時、未放映のテレビ対局を除く）

３月１１日　叡王戦本戦準決勝

対青嶋未来六段　○

３月１７日　棋王戦コナミグループ杯五番勝負第４局

対藤井棋王　●

３月１９日　叡王戦本戦挑戦者決定戦

対永瀬拓矢九段　○

４月７日　叡王戦五番勝負第１局

対藤井叡王　●

４月１０日　竜王戦１組準決勝

対佐藤康光九段　●

４月２０日　叡王戦五番勝負第２局

対藤井叡王　○

４月２３日　ＡＬＳＯＣ杯王将戦１次予選

対八代弥七段　○

５月２日　叡王戦五番勝負第３局

対藤井叡王　○

５月１７日　ＡＬＳＯＫ杯王将戦１次予選

対渡辺和史七段　○

５月２１日　竜王戦1組出場者決定戦

対久保利明九段　●

　直近１０局の成績は藤井叡王が７勝３敗とまずまず。伊藤七段も藤井叡王をはじめトップ棋士とばかりの対戦で６勝４敗なので好調を維持していると考えていいだろう。

　ただし勢いの比較では叡王戦五番勝負の第２局と第３局で連勝し、さらに第４局で先手番を握っている伊藤七段に流れが来ていると思われる。

藤井叡王は伊藤七段の得意形を受けて立つか

　直接対決は過去１４戦して藤井叡王の１１勝２敗１持将棋。叡王戦第１局までは藤井叡王の１１勝１持将棋とスコアが一方的だったことを考えると、伊藤七段が苦手意識を払しょくしたのかもしれない。

　第４局は伊藤七段先手なので最近の戦型選択傾向から角換わりが本命で、対抗は相掛かりだ。藤井叡王の後手番は昨年まではほとんど相手の得意形を真正面から受けて立つことが多かったが、本シリーズ第２局で角換わり△３三金型を用いたように新たな戦型も指すようになった。

　これは相手の事前研究にハマらないようにするための戦略的な戦型選択といえよう。よってカド番の第４局では藤井叡王が雁木やその他の相居飛車力戦系に誘導する可能性もあると思われ、序盤から目が離せない。