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シーズン二桁本塁打&二桁勝利は、ベーブ・ルースと大谷翔平の2人にニグロリーグの選手が加わる

宇根夏樹ベースボール・ライター
ベーブ・ルース(写真:ロイター/アフロ)

 これまで、1シーズンに10本以上のホームランを打って10勝以上を挙げたのは、ベーブ・ルース大谷翔平(現ロサンゼルス・ドジャース)の2人とされていた。

 ルースは、ボストン・レッドソックス時代の1918年に11本のホームランを打ち、13勝を挙げた。大谷は、ロサンゼルス・エンジェルス時代の2022年と2023年に、それぞれ、34本塁打と15勝、44本塁打と10勝を記録した。

 今回、メジャーリーグの公式記録にニグロリーグが加わったことで、シーズン二桁本塁打&二桁勝利は、彼らだけではなくなった。

 もっとも、この人数と回数は、大幅に増えたわけではない。2人→3人、3度→4度だ。

 1920~30年と1937~38年にカンザスシティ・モナークスでプレーしたブレット・ローガンは、1922年に15本のホームランを打ち、13勝を挙げた。白星は、MLB.comの数値だ。ベースボール・リファレンスとファングラフスは、14勝としている。

 ちなみに、1918年のルースは、本塁打王のタイトルをティリー・ウォーカーと分け合った。2023年の大谷は、本塁打王を獲得した。大谷だけでなく、ルースも、その前に本塁打王にはなっていない。

 1922年にローガンが記録した15本塁打は、ベースボール・リファレンスによると、ニグロ・ナショナル・リーグの2位。上には、19本塁打のオスカー・チャールストンがいた。

 ローガンのシーズン二桁本塁打は、1922年しかない。一方、シーズン二桁勝利は、ルースの4度(1915~18年)と大谷の2度(2022~23年)――大谷の回数はこれから増える可能性あり――を上回り、8度(1921~28年)を数える。こちらもベースボール・リファレンスによると、1923年の16勝と1924年の16勝は、どちらもニグロ・ナショナル・リーグで最も多かった。

 ルースは、1916年と1917年に20勝以上を挙げたが、最多勝のタイトルは手にしていない。1916年の防御率1.75は、ア・リーグで最も低かった。

 ルースとローガンは、ともに殿堂入りしている。ただ、ルースの選出は1936年だ。タイ・カッブホーナス・ワグナークリスティ・マシューソンウォルター・ジョンソンとともに、最初の殿堂選手となった。ローガンが殿堂に迎えられたのは、1998年だ。ローガンは、1967年に亡くなった。

 なお、これまで、カッブが歴代1位だった通算打率については、こちらで書いた。

「通算打率の歴代トップが入れ替わる。打率.367のタイ・カッブを上回るのは…」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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