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アライズの「77試合で109安打」は262安打を記録した年のイチローを1本上回る。打率は.402

宇根夏樹ベースボール・ライター
ルイス・アライズ(マイアミ・マーリンズ)Jun 23, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月23日、ルイス・アライズ(マイアミ・マーリンズ)は、4打数3安打を記録し、今シーズンの打率を、試合が始まる前の.397から.402とした。271打数109安打だ。

 マーリンズは、この日の試合を含め、77試合を終えている。77試合で109安打は史上最多ではないものの、2004年のイチローを1本上回る。

 19年前、イチローは、262本のヒットを打ち、シーズン安打の新記録を打ち立てた。ジョージ・シスラー(1920年)の257安打を上回った。

 シアトル・マリナーズが77試合を終えた時点で、イチローは、338打数108安打、打率.320だった。78試合目以降に、366打数154安打、打率.421を記録した。シーズン全体では、704打数262安打、打率.372だ。

 チームが77試合を終えた時点のアライズとイチローを比べると、打席と打数は、イチローが65以上も多い。イチローは77試合すべてに出場しているが、アライズの出場は71試合だ。また、1番打者としての出場は、イチローが67試合、アライズは27試合。四球率も、6.8%と7.4%なので、イチローのほうが低い。

 アライズが262安打を記録するには、これまで以上のペースでヒットを量産するだけでなく、欠場しないこと、多くの打席に立つこと、そして、四球をあまり選ばないことも必要とされる。イチローの記録を塗り替える可能性は、かなり低そうだ。

 ちなみに、77試合で109安打、欠場した試合も含めて1試合1.42安打のペースを162試合に換算すると、安打は230本前後となる。

 一方、現時点の打率が.402なので、ここからの打率が.400未満でも、1941年に打率.406のテッド・ウィリアムズ以来となる、シーズン打率.400以上はあり得る。

 マーリンズが162試合を行った場合、アライズは、あと203打席に立つと、現時点の299打席と合わせて、シーズン全体の規定打席(502)に到達する。打席に占める打数の割合が今後も同じ90.6%だとすると、203打席で184打数だ。そこで73本のヒットを打てば、シーズン全体では455打数182安打、打率.400となる。

 もっとも、こちらもそう簡単ではない。ここから、184打数73安打ということは、このスパンの打率は.397だ。打数がそれよりも多くなれば、シーズン打率.400以上に必要な、このスパンの打率は、さらに高くなる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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