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シーズン120敗以上を喫するのはA'sではなくこのチーム!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ボビー・ウィットJr.(カンザスシティ・ロイヤルズ)Jun 6, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月12日、オークランド・アスレティックスは、4対3でタンパベイ・レイズを破り、6日からの連勝を6に伸ばした。

 それでも、シーズン全体では18勝50敗。勝率.265は、両リーグで最も低い。

 ただ、アスレティックスは、今シーズン、最も多くの黒星を積み重ねたチームにはならないかもしれない。カンザスシティ・ロイヤルズとの差は、ほとんどなくなっている。

 5月を終えた時点で、アスレティックスは12勝46敗(勝率.207)、ロイヤルズは17勝39敗(勝率.304)だった。両チームは、6ゲーム離れていた。だが、6月に入ってから、アスレティックスは6勝4敗、ロイヤルズは1勝9敗だ。アスレティックスと対照的に、ロイヤルズは5日から7試合続けて負けている。

 どちらのチームも、シーズン全体では18勝。ロイヤルズの黒星は、アスレティックスより2つ少ないだけだ。その差は、1ゲームしかない。ロイヤルズがここからの2試合とも敗れると、68試合を終えた時点の18勝50敗は、現在のアスレティックスとまったく同じになる。

 1900年以降、1シーズンに120敗以上を喫したチームは、1962年のニューヨーク・メッツしかない。この年が創設1年目だったメッツは、161試合で40勝120敗1分(勝率.250)に終わった。現時点のアスレティックスとロイヤルズの勝率は.265と.273。61年前のメッツをわずかに上回っているに過ぎない。

 ここからの推移は予想しにくいが、両チームとも、夏のトレード市場では売り手に回るはずなので、8月以降の勝率は、今より下がってもおかしくない。

 もっとも、アスレティックスの場合、昨春以降、主力選手を次々とトレードで放出してきたこともあり、他球団が欲しがるような選手は、ほとんど残っていない。アスレティックスが手放したのは、先発投手のクリス・バシット(→ニューヨーク・メッツ/現トロント・ブルージェイズ)、一塁手のマット・オルソン(→アトランタ・ブレーブス)、三塁手のマット・チャップマン(→ブルージェイズ)、先発投手のショーン・マネイア(→サンディエゴ・パドレス/現サンフランシスコ・ジャイアンツ)、先発投手のフランキー・モンタスとリリーフ投手のルー・トリビーノ(→ニューヨーク・ヤンキース)、捕手のショーン・マーフィー(→ブレーブス)、先発投手のコール・アービン(→ボルティモア・オリオールズ)、リリーフ投手のA.J.パック(→マイアミ・マーリンズ)といったところだ。

 一方、ロイヤルズでは、昨オフに1年375万ドルで入団したアロルディス・チャップマンをはじめ、何人かのリリーフ投手に対し、他球団からの引き合いがありそうだ。

 ちなみに、ロイヤルズとアスレティックスは、5月5日~7日に対戦し、アスレティックスが2勝1敗と勝ち越している。8月21日~23日にも、両チームは3試合を行う。

 なお、1962年のメッツを含め、シーズン110敗以上のチーム――このままいくと、アスレティックスとロイヤルズが加わるグループ――は、こちらにリストを掲載した。

「62試合で50敗のチームが5連勝は奇跡!? シーズン110敗以上の歴代チームにも5連勝はあったのか」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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