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シーズン30本塁打以上5度のスラッガーが、開幕から196打数目に今シーズン初本塁打を打つ

宇根夏樹ベースボール・ライター
ホゼ・アブレイユ(ヒューストン・アストロズ)May 28, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月28日、ホゼ・アブレイユ(ヒューストン・アストロズ)は、8回表にホームランを打った。いつもより、かなり速いスピードでダイヤモンドを回ったアブレイユは、ホームを踏んでからも減速せず、ダグアウトの前に出てきたチームメイトの前に滑り込んだ。

 上の写真は、打った直後。下の写真は、滑り込む直前だ。

May 28, 2023
May 28, 2023写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 今シーズンは、ホームランが出ていなかった。開幕から196打数目のシーズン初本塁打だ。昨シーズンを含めると、260打数ホームランなしに終止符を打った。

 このストリークは、メジャーリーグ記録とは程遠い。ただ、アブレイユは、シーズン30本塁打以上が5度のスラッガーだ。昨シーズンは15本塁打ながら、その前の2021年は30本のホームランを打っている。

 また、昨オフ、シカゴ・ホワイトソックスからFAになったアブレイユは、アストロズと3年5850万ドルの契約を交わした。年平均は1950万ドル。決して安い金額ではない。にもかかわらず、前日の時点では、0本塁打に加え、出場50試合で打率.214と出塁率.269、OPS.519と低迷していた。

 過去9シーズンの通算は、打率.292と出塁率.354、243本塁打、OPS.860だ。例年よりホームランが少なかった昨シーズンも、打率.304と出塁率.378、OPS.824を記録していた。

 昨シーズンも、開幕からホームランを打てなかったスラッガーがいた。マーカス・シミエン(テキサス・レンジャーズ)がそうだ。

 シミエンは、2021年に、2年ぶり2度目の30本塁打以上となる――間の2020年は短縮シーズン――45本塁打を記録した。そして、トロント・ブルージェイズからFAになり、レンジャーズに7年1億7500万ドルの契約で迎えられた。開幕から不振に喘いだことも、アブレイユと似ている。それらについては、「前年45本塁打のスラッガーが、開幕45試合目に今シーズン1本目のホームランを打つ」で書いたとおりだ。

 昨シーズン、シミエンは26本のホームランを打った。シーズン全体では、打率.248と出塁率.304、OPS.733だが、シーズン最初のホームランを打った試合以降に限ると、打率.268と出塁率.324、OPS.816を記録した。

 昨シーズンのシミエンが31歳だったのに対し、今シーズンのアブレイユは36歳なので、同じように盛り返すことができるかどうかはわからないものの、シーズンはまだ110試合も残っている。

 ちなみに、シミエンの昨シーズン初本塁打は、レンジャーズの45試合目、出場44試合目。アブレイユの今シーズン初本塁打は、アストロズの52試合目、出場51試合目だ。けれども、5月28日にシーズン最初のホームラン、という点は共通する。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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