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WBC5本塁打の「スラッガー」が今シーズンはまだ4本塁打。本拠地でブーイングも当然!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
トレイ・ターナー(フィラデルフィア・フィリーズ)May 22, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今春、WBCに出場したトレイ・ターナー(フィラデルフィア・フィリーズ)は、6試合で5本のホームランを打った。1度のWBCで5本塁打は、2006年の李承燁と並ぶ、最多記録だ。

 けれども、今シーズン、開幕から46試合に出場しながら、ターナーのシーズン本塁打は、まだ5本に達していない。ここまでは4本だ。

 もともと、ターナーは、ホームランを量産するスラッガーではない。2年前は28本塁打を記録したが、昨シーズンは21本。その前のシーズンは、いずれも20本に届いていない。

 ただ、初めて規定打席に達した2018年以降、ターナーの出塁率は、5シーズン続けて.340を上回っていた。それに対し、今シーズンの出塁率は.303に過ぎない。また、昨シーズン終了後、ロサンゼルス・ドジャースからFAとなったターナーは、フィリーズと11年3億ドル(2023~33年)の大型契約を交わした。

 今シーズンからホームとしているシチズンズ・バンク・パークで、ターナーが観客からブーイングを浴びているのも、やむを得ない気がする。

 フィリーズのファンは、18シーズンにわたってフィリーズでプレーし、本塁打王を8度獲得したマイク・シュミットにも、ブーイングを浴びせたことがある。

 また、今シーズンのフィリーズは、22勝25敗と負け越している。この点も、ターナーに対する風当たりが強くなっている理由の一つだろう。

 もっとも、ターナーもフィリーズも、持ち直す時間はまだある。リーグ優勝を飾った前年も、シーズン序盤はもたついていた。5月を終えた時点では、21勝29敗。借金8を抱えていた。

 そこから、フィリーズは、3ヵ月続けて勝率.600以上を記録し、9月以降は負け越したものの、ワイルカードの3番手としてポストシーズンへ進んだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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