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強打の捕手はエンジェルスではなくメッツと契約。同じ日、エンジェルスの捕手は故障者リスト入り

宇根夏樹ベースボール・ライター
ゲリー・サンチェス Jul 2, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月9日、ゲリー・サンチェスは、ニューヨーク・メッツとマイナーリーグ契約を交わした。

 サンチェスは、30歳の捕手だ。2015~21年はニューヨーク・ヤンキース、2022年はミネソタ・ツインズでプレーし、2017年と2019年は30本以上のホームランを打っている。通算100本塁打に到達したのは、出場355試合目(2019年8月23日)。360試合未満で100本塁打を記録した選手は、他に2人、325試合のライアン・ハワードと347試合のピート・アロンゾ(ニューヨーク・メッツ)しかいない。アロンゾに抜かれるまで、サンチェスは史上2番目の速さ――出場試合の少なさ――だった。

 ただ、2018年以降のシーズン出塁率は.300前後に過ぎず、昨シーズンは.282。ホームランも16本にとどまった。FAになった昨オフは、なかなか球団が決まらず(「シーズン30本塁打以上が2度ある、30歳の捕手が売れ残り中。DHとしての需要もないのか」)、開幕直後にサンフランシスコ・ジャイアンツとマイナーリーグ契約。メジャーリーグに昇格することなく、今月2日にオプト・アウトの権利を行使し、ジャイアンツを退団した。

 メッツは、オマー・ナルバイエズトマス・ニドの捕手2人を擁し、開幕を迎えた。だが、ナルバイエズは、開幕直後に左のふくらはぎを痛めて離脱。現在は、60日間の故障者リストに入っている。また、代わって昇格したフランシスコ・アルバレスは、18試合で出塁率.264と1本塁打。トップ・プロスペクトと目されていた資質を、発揮するには至っていない。もともと打撃が得意ではないニドは、19試合で出塁率.148と0本塁打だ。

 捕手事情からすると、ロサンゼルス・エンジェルスも、サンチェスと契約を交わす可能性はあったように思える。それについては、「この強打の捕手をエンジェルスは手に入れるのか。オホッピーを欠き、スタッシの復帰時期は不明」「この捕手のエンジェルス入団が現実味を帯びてきた!? 捕手2人の一方が首に張りを訴え…」で書いた。5月9日、エンジェルスは、チャド・ウォラックを故障者リストに入れ、クリス・オーキーを昇格させた。

 サンチェスは、AAAでしばらくプレーした後、アルバレスとニドのどちらかと入れ替わり、昇格する可能性が高い。アルバレスは、マイナーリーグ・オプションが残っている。

 なお、サンチェスのここまでの動き、ツインズ→ジャイアンツ→メッツは、昨シーズン、ツインズでチームメイトだったカルロス・コレイアと似ている。もっとも、コレイアの場合、ジャイアンツにもメッツにも、入団はしていない。どちらも、合意に達した契約が白紙に戻り、結局、ツインズに戻った。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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