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プロ13年目のメジャーリーグ初安打。前日に降格となったが、特別ルールのおかげで…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ドルー・マッジ(中央)Apr 29, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月29日、ダブルヘッダー2試合目の7回表に、ドルー・マッジ(ピッツバーグ・パイレーツ)は、代打として起用された。そして、センターにシングル・ヒットを打ち、三塁にいた走者を生還させた。

 マッジは33歳。2010年から、マイナーリーグでは1000試合以上に出場してきたが、メジャーリーグでプレーしたのは、今シーズンの4月26日が初めてだ。その3日前の昇格については、「マイナーリーグで通算1155試合に出場した33歳のメジャーデビューは実現するのか。昇格は2度目」で書いた。

 昇格から2試合、4月23日と25日は出場がなく、26日に代打としてメジャーデビューし、三振を喫した。続いて、27日は「8番・三塁」としてスターティング・ラインナップに並んだものの、3打数0安打に終わり、28日にAA降格となった。

 ただ、マッジは、パイレーツにそのまま残った。28日の試合が雨によって順延され、29日はダブルヘッダーに変更された。通常のアクティブ・ロースターは26人だが、ダブルヘッダーの日は1人増える。27人目の選手としてロースターに加わったマッジは、プロ13年目にしてメジャーリーグ初安打と初打点を記録した。なお、マイナーリーグのシーズンが中止された2020年は、この年数に含めていない。

 代打の後、三塁の守備についたマッジは、9回表も打席に立ち、今度は三塁手の頭上を越える二塁打を記録した。

 この日の1試合目に、マッジは出場していない。1試合目のスコアは6対3、2試合目は16対1だ。マッジが打席に入った時点で、パイレーツは、12対0とリードしていた。点差が大きく開いていなければ、マッジは、2試合目もベンチに座ったまま、メジャーリーグでヒットを打つことなく、AAへ戻っていたかもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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