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9者連続奪三振の投手は、その年に奪三振王となったのか。10者連続の3人を含め、この投手は13人目

宇根夏樹ベースボール・ライター
アンドルー・ヒーニー(テキサス・レンジャーズ)Apr 10, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月10日、先発マウンドに上がったアンドルー・ヒーニー(テキサス・レンジャーズ)は、1回表の1死二、三塁から、対戦した9人をいずれも三振に仕留めた。

 1試合に9者連続の奪三振は、ヒーニーの前に12人が記録している。そのうち、1970年4月22日のトム・シーバー、2021年6月25日のアーロン・ノラ(フィラデルフィア・フィリーズ)、2021年8月11日のコービン・バーンズ(ミルウォーキー・ブルワーズ)は、9者連続にとどまらず、その次の打者からも三振を奪い、10者連続とした。この3人はナ・リーグの投手として記録したので、ヒーニーの9者連続はア・リーグ最長タイということになる。

筆者作成
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 1登板の連続奪三振とシーズン全体の奪三振の多さは、必ずしも一致しない。これまでの12人中、その年にリーグ最多の三振を奪ったのは、1970年のシーバーと2007年のジェイク・ピービーだけだ。

 ただ、奪三振のトップ5にランクインした投手は、シーバーとピービーを含め、6人を数える。1884年のミッキー・ウェルチはナ・リーグ4位、2015年のマックス・シャーザー(当時ワシントン・ナショナルズ/現ニューヨーク・メッツ)はナ・リーグ2位、2021年のノラとバーンズはナ・リーグ5位と3位だ。

 奪三振率が高かった投手は、さらに多い。当てはまらないのは、2012年のアーロン・ハラングダグ・フィスター、2020年のタイラー・アレクザンダー(デトロイト・タイガース)の3人だ。1884年のウェルチは奪三振率5.57だが、ナ・リーグ8位の順位から窺えるとおり、当時としては低い奪三振率ではなかった。

 13人目のヒーニーも、奪三振率は高い。昨シーズンは、72.2イニングで110奪三振、奪三振率13.62を記録した。今シーズンの2登板は、7.2イニングで12奪三振、奪三振率14.09だ。

 故障が多く、これまでの9シーズン中、130イニング以上は2018年(180.0イニング)の1度きりだが、健康に過ごすことができれば、シーズンが終わった時、奪三振や奪三振率のトップに位置していても不思議ではない。

 昨シーズンから、ヒーニーはスライダーを多投し、空振り率を上昇させている。

 なお、アレクザンダーは、リリーフ登板で9者連続の奪三振を記録した。それについては、こちらで書いた。

「リリーフ投手初の「9者連続奪三振」は、他の点でも「史上初」」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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