Yahoo!ニュース

最初の6試合で15三振は1900年以降2番目の多さ。奪三振ではなく…打者が喫した三振

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブランドン・ベルト(トロント・ブルージェイズ)Mar 19, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月8日、ブランドン・ベルト(トロント・ブルージェイズ)は、4打席に立ち、3三振を喫した。この日の出場は、シーズン6試合目。ここまでは、25打席で23打数1安打、15三振だ。

 スタッツ・センターによると、シーズン最初の6試合で15三振は、モダン・エラ(1900年以降)における2番目の多さ。ブレット・ウォラス(2013年)の17三振に次ぎ、サンディ・コーファックス(1962年)とパット・バール(2001年)に並ぶという。

 彼らのうち、コーファックスは投手だ。1963年と1965~66年にサイ・ヤング賞を受賞し――1963年はMVPにも選ばれた――殿堂入りしている。1962年から1966年まで、防御率は5年連続ナ・リーグ1位。1961年と1963年と1965~66年は最多奪三振、1963年と1965~66年は最多勝のタイトルも手にした。

 1962年の最初の6試合は、15三振を喫する一方で、55三振を奪っている。

 また、コーファックスのプロ入りはドラフトが始まる前、ベルトは2009年のドラフト5巡目・全体147位だが、ウォラスとバールは、どちらも1巡目に指名された。それぞれの順位は、2008年の全体13位と1998年の全体1位だ。

 ウォラスは大成できず、通算本塁打は40本にとどまったが、2013年は自己最多の13本塁打を記録した。バールは、通算292本塁打。2001年のホームランは30本に3本足りなかったものの、翌年以降、シーズン30本塁打以上は4度を数えた。

 最初の6試合で15三振以上の当時、ウォラスとバールは(コーファックスも)20代半ばだった。それに対し、ベルトは34歳だ。今月20日には、35歳の誕生日を迎える。

 とはいえ、ベルトは、パワーのある打者だ。故障が少なくない上、昨シーズンまではサンフランシスコ・ジャイアンツにずっと在籍していた――ホームのオラクル・パークは左打者のホームランが出にくい――こともあり、30本塁打以上のシーズンはないが、2021年は出場97試合で29本のホームランを打っている。

 今シーズンは、まだ150試合以上が残っている。ここからの巻き返しは、可能なはずだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事