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チャップマンに復活の兆し!? 球速は2年ぶりに103マイルを超え、過半数の打者から三振を奪う

宇根夏樹ベースボール・ライター
アロルディス・チャップマン(カンザスシティ・ロイヤルズ)Apr 1, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨シーズン、アロルディス・チャップマンは、自己ワーストの奪三振率10.65と防御率4.46を記録した。しかも、これらの数値は、それまでのワーストと比べても、かなり悪い。2010~21年のワーストは、奪三振率が12.34(2017年)、防御率は3.60(2011年)だった。

 スタットキャストによると、昨シーズン、速球系――チャップマンは4シームとシンカー――の平均球速は97.7マイル。これまでの13シーズンとも、速球系の平均球速が98.0マイルを下回ったことはなかった。与四球率も6.94と高く、こちらは、2011年の7.38に次いだ。

 ニューヨーク・ヤンキースからFAになったチャップマンは、カンザスシティ・ロイヤルズと1年375万ドルの契約を交わした。2022年の年俸は1600万ドルだったので、その4分の1にも満たない。今年2月には、35歳の誕生日を迎えた。

 ただ、今シーズンの最初2登板とも、チャップマンはヒットを打たれず、対戦した7人中1人を歩かせたものの、4三振を奪っている。

 サンプル数としてはわずかながら、33球のうち、3分の2の22球はストライクだ。また、4シームとシンカーの計26球中14球は100マイル以上。最速は103.5マイルに達し、平均球速100.3マイルを記録している。

 過去5年のシーズン最速は、2018年が104.4マイル、2019年が102.7マイル、2020年が101.5マイル、2021年が103.4マイル、2022年は101.9マイルだ。103マイル以上は2年ぶり、103.5マイル以上は5年ぶりということになる。

 もともと、ロイヤルズが今秋のポストシーズンに進む可能性は高くない上、開幕から7試合を終え、1勝しか挙げることができずにいる。チャップマンが投げたのも、2試合ともビハインドの9回表だった。

 もし、チャップマンがこのまま復活を遂げれば、夏のトレード市場で人気を博すことになるだろう。

 もっとも、ヤンキースが動くかどうかはわからない。そう考える理由は、こちらにある。

「練習をサボらなければ、チャップマンはロースターに入っていたのか」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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