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まもなくデビューの遊撃手はヤンキース「最小の背番号」を背負う。その前に使用していたのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
アンソニー・ボルピー Mar 25, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 アンソニー・ボルピー(ニューヨーク・ヤンキース)は、今年の開幕戦でメジャーデビューする。それについては、「ヤンキースの「9番・遊撃」としてデビューはジーターと同じ。生まれた州、右打者、ドラフト1巡目も共通」で書いた。

 今春のスプリング・トレーニングで、ボルピーは、背番号「77」のユニフォームを着ていた。ここからは「11」を背負う。正の整数のなかでは、ヤンキースで使用できる最小の背番号だ。

 それより小さい背番号は、いずれも永久欠番になっている。「1」がビリー・マーティン、「2」がデレク・ジーター、「3」がベーブ・ルース、「4」がルー・ゲーリッグ、「5」がジョー・ディマジオ、「6」がジョー・トーリ、「7」がミッキー・マントル、「8」がビル・ディッキーヨギ・ベラ、「9」がロジャー・マリス、「10」はフィル・リズート。ちなみに、その次に小さい永久欠番は、サーマン・マンソンの「15」だ。

 昨年、ヤンキースに背番号「11」の選手はいなかった。ボルピーが使用することには、何の不都合もない。

 とはいえ、少し寂しい気もする。2008年から2021年まで、ヤンキースの背番号「11」は、ブレット・ガードナーが使用していた。

 ガードナーが、クーパースタウンの殿堂に入ることはないだろう。通算の安打は1470本、ホームランは139本、盗塁は274だ。獲得したタイトルは、2011年の盗塁王(49盗塁)だけ(2013年の10三塁打と2014年の13犠打もリーグ最多)。ゴールドグラブは2016年、オールスター・ゲーム選出は2015年の1度ずつだ。

 ただ、10シーズン以上にわたり、ヤンキースで「11」を背負った選手は、他にはいない。ガードナーは、他の球団に在籍したことがなかった。

 YESネットワークのジャック・カリーによると、背番号を「11」とする前に、ボルピーは、ガードナーに電話をかけたという。それに続き、カリーは、ガードナーの代理人に聞いた話として、ガードナーは使用について全面的に賛同し、背番号「11」として成功できるよう、ボルピーを激励した、と報じている。

 3月30日、ボルピーは、背中に名前は綴られておらず、「11」と記されたピンストライプのユニフォームを着て、ヤンキー・スタジアムのフィールドに立つ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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