Yahoo!ニュース

ヤンキースの「9番・遊撃」としてデビューはジーターと同じ。生まれた州、右打者、ドラフト1巡目も共通

宇根夏樹ベースボール・ライター
アンソニー・ボルピー(ニューヨーク・ヤンキース)Mar 6, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 アンソニー・ボルピー(ニューヨーク・ヤンキース)は、3月30日の開幕戦で「9番・遊撃」としてメジャーデビューする。MLB.comのブライアン・ホックらによると、アーロン・ブーン監督は、3月27日に、そうするつもりだと語ったという。

 ヤンキースの生え抜き選手が、遊撃手として開幕戦のスターティング・ラインナップに名を連ねたのは、2014年のデレク・ジーターが最後だ。その後の9試合は、2015~16年と2018年がディーディー・グレゴリアス、2017年がロナルド・トレイエス、2019年がトロイ・トゥロウィツキ、2020~21年がグレイバー・トーレス、2022年はアイザイア・カイナー-ファレファ。直近の2人は、現在もヤンキースにいる。また、トーレスはヤンキースでメジャーデビューしたが、その前に、アロルディス・チャップマン(現カンザスシティ・ロイヤルズ)の交換要員の一人として、シカゴ・カブスからヤンキースへ移籍した。

 ジーターもボルピーも、ニュージャージー州で生まれた。どちらも右打者で、ドラフト1巡目にヤンキースから指名された高校生、という点も共通する。ジーターは1992年の全体6位、ボルピーは2019年の全体30位だ。「9番・遊撃」として初出場も同じ。ジーターは、開幕戦ではないが、1995年5月29日にデビューした。ちなみに、翌年、初めて開幕戦に出場した時も「9番・遊撃」だった。

 MLB.comのインタビューで、ボルピーは、お気に入りの選手にジーターを挙げている。

 ただ、初の開幕ロースター入りの経緯は異なる。ジーターは、1995年のメジャーリーグ出場こそ15試合ながら、AAAで好成績を残し、1996年のスプリング・トレーニングが始まった時点では、トニー・フェルナンデス――2000年に西武ライオンズでプレー――を押しのけ、遊撃のレギュラーになることが期待されていた。けれども、ジーターは、エキシビション・ゲームで守備のミスを連発した。開幕直前にフェルナンデスが右肘を痛めなければ、AAAへ落とされていたかもしれない。

 2021年に、スポーツ・イラストレイテッドのトム・バードゥッチが発表した記事によると、オーナーのジョージ・スタインブレナーは、フェルナンデスに代わる遊撃手として、シアトル・マリナーズからフェリックス・ファーミンを手に入れようとしたが、ジョー・トーリ監督らに説得されて思いとどまったという。このトレードの交換相手には、マリアーノ・リベラの名前も挙がっていたらしい。

 ボルピーの場合、前年に遊撃を守っていたカイナー-ファレファは、故障に見舞われてはいない(トーレスは二塁を守った)。それだけでなく、オズワルト・ペラーザという、昨年9月にメジャーデビューしたライバルもいた。

 守備だけを取り上げれば、おそらく、ボルピーはこの3人の3番目だろう。だが、ボルピーは、エキシビション・ゲームにおいて、バットと俊足で結果を残した。カイナー-ファレファは控えのユーティリティとなり、ペラーザはAAAで開幕を迎える。

 なお、昨年、ボルピーは、AAの110試合とAAAの22試合に出場し、計132試合で打率.249と出塁率.342、21本塁打と50盗塁を記録した。ジーターは、昨年のボルピーと同じ21歳だった1995年に、AAAの123試合とメジャーリーグの15試合、計138試合で打率.311と出塁率.386、2本塁打と20盗塁。時代もプレーしたクラスも違うので、比較には不適だが、パワーに関しては、ボルピーがジーターを凌ぐのではないだろうか。

 ちなみに、マイナーリーグで20-50を記録したのは、1995年のアンドルー・ジョーンズ――2013~14年に東北楽天ゴールデンイーグルスでプレー――以来だ。当時、18歳のアンドルーは、アトランタ・ブレーブス傘下のAで139試合に出場し、25本のホームランを打ち、56盗塁を決めた。

 ジーターは、メジャーリーグでプレーした1995~2014年の20シーズンに、3465安打、260本塁打、358盗塁を記録した。アンドルーは、1996~2012年の17シーズンに、1933安打、434本塁打、152盗塁。2011~12年に、2人はヤンキースでともにプレーした。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事