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キューバ出身のイグレシアスとグリエルは同球団とマイナーリーグ契約。揃って開幕ロースター入りはあるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
Aug 30, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 キューバ出身の2人、ホゼ・イグレシアスユリ・グリエルは、どちらもマイアミ・マーリンズとマイナーリーグ契約を交わした。早速、3月10日から、ノン・ロースター・インバイティ(キャンプ招待選手)として、スプリング・トレーニングに参加している。

 イグレシアスは33歳。昨年はコロラド・ロッキーズで遊撃を守り、118試合で打率.292と出塁率.328、3本塁打と30二塁打を記録した。ちなみに、打者天国のクアーズ・フィールドでは、打率.264と出塁率.304。アウェーの打率と出塁率は.315と.348だった。

 グリエルは38歳。6月上旬に39歳となる。ポジションは一塁だ。これまではヒューストン・アストロズにいて、2019年は31本のホームランを打ち、一昨年は首位打者を獲得したものの、昨年は148試合で打率.242と出塁率.288、二塁打は40本ながら、ホームランは8本にとどまった。前年と比べると、出塁率は約100ポイント下がり、ホームランはほぼ半減した。

 今のところ、マーリンズの内野は、一塁にギャレット・クーパー、二塁にルイス・アライズ、遊撃にジョーイ・ウェンデル、三塁はジーン・セグーラという布陣が有力だ。二塁を守っていたジャズ・チザムJr.は、センターへ移る。DHは、ホルヘ・ソレーアだろう。アライズは、トレードでミネソタ・ツインズから加入。セグーラは、2年1700万ドルの契約で入団した。

 これまで、ウェンデルは、二塁か三塁を守ることが多く、昨年の先発出場は、三塁が37試合と二塁が26試合、遊撃は22試合だった。セグーラは、2019年まで遊撃をメインとしていた――二塁手としてプレーした2016年は除く――が、その後、遊撃手としての先発出場は、2020年が2試合、2021~22年はゼロだ。アライズが遊撃を守ったのは、途中出場を含めても、2019年の8試合だけ。先発出場は、そのうちの3試合だ。一方、イグレシアスは、昨年に限らず、キャリアを通して主に遊撃を守ってきた。

 また、ウェンデル(とアライズ)が左打者であるのに対し、イグレシアスは右打者だ。開幕ロースターにイグレシアスが入るチャンスは、低くなさそうに見える。控えにとどまらず、ウェンデルと併用されてもおかしくない。

 グリエルの場合も、ポジションの状況はイグレシアスと少し似ている。一塁にはクーパーがいるものの、控えの一塁手は不在だった。ソレーアは、外野の両コーナーしか守ったことがない。

 ただ、クーパーもソレーアも、グリエルと同じ右打者だ。昨年、アライズは一塁出場が最も多く、ウェンデルが二塁、イグレシアスが遊撃、アライズは一塁という配置もできる。

 グリエルが開幕ロースターに加わる可能性は、皆無ではないとはいえ、イグレシアスほど高くはない。

 イグレシアスがロースター入りすると、控えの4枠中3枠は埋まる。イグレシアス以外の2人は、捕手のニック・フォーテスと外野手のヘスス・サンチェスだ。2020年にメジャーデビューしたサンチェスは、まだ25歳だが、すでにマイナーリーグ・オプションが切れている。降格させるにはウェーバー公示の必要があり、他球団に獲得されかねない。

 グリエルは、残る1枠を、どちらも内外野を守る2人と争うことになりそうだ。ジョン・バーディは、マイナーリーグ・オプションが残っている。ギャレット・ハンプソンは、マイナーリーグ契約だ。昨年、バーディは、両リーグ最多の41盗塁を記録している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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