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同点の9回裏、2死満塁のピンチを救ったのは、ルーキーではなくルールだった!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
カル・コンリー(アトランタ・ブレーブス) Oct 22, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2月25日、ボストン・レッドソックスとアトランタ・ブレーブスが対戦したエキシビジョン・ゲームは、予想外の幕切れを迎えた。

 9回表が終わった時点では、レッドソックスが6対3とリードしていた。そこから、ブレーブスが同点に追いつく。2死ながら、なおも満塁。カウントは3-2となった。ヒットが出ればもちろん、押し出しの四球でも、ブレーブスのサヨナラ勝ち、レッドソックスのサヨナラ負けだ。

 打席にはカル・コンリー、マウンドにはロバート・クウィアトコウスキーがいた。どちらもまだメジャーデビューしておらず、レギュラーシーズンでもポストシーズンでもないが、なかなかの場面だ。

 けれども、次の投球はなかった。コンリーは、打席で構えるまでに時間を費やしすぎた。今年から導入されたルールには、こうある。ピッチ・クロックのカウントが始まってから8秒以内に、打者は打席で構えなければならない。球審が宣告した「オートマティック・ストライク」により、コンリーは三振を喫し、同点のまま、試合終了となった。

 レッドソックスのキーケー・ヘルナンデス――この試合に出場していなかった――は、こうツイートした。「ピッチ・クロックがピンチを救ってくれた!」

 こうしたことは、レギュラーシーズンでも起こり得る。コンリーのような「オートマティック・ストライク」の三振により、完全試合が達成される可能性もあるということだ。なお、クウィアトコウスキーが投球までに20秒を超えていた場合は、「オートマティック・ボール」が宣告されていた。走者がいない時は15秒以内だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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