初グランドスラムの相手は、先々月まで在籍の古巣。ドラフト全体2位の正捕手候補だったが…
5月23日、ジョーイ・バート(ピッツバーグ・パイレーツ)は、4回裏の2死満塁からホームランを打った。キャリア初のグランドスラムだ。
先々月まで、バートは、対戦相手のサンフランシスコ・ジャイアンツに在籍していた。開幕ロースターに入ったものの、出場することなく、3月末にDFAとされ――40人ロースターから外され――その2日後のトレードで、ジャイアンツからパイレーツへ移った。
このトレードは1対1。バートとオースティン・ストリックランド、控え捕手とマイナーリーガーの投手が交換された。それぞれの年齢は、27歳と21歳だ。ストリックランドは、今月末に22歳となる。
それだけなら、あまり目立たないトレードと言っていいだろう。ただ、バートは、2018年のドラフト全体2位だ。かつては、バスター・ポージーの後継者となることが期待されていた。
ジャイアンツでは、2020~23年の4シーズンに、計162試合の503打席で打率.219と出塁率.288、11本塁打、OPS.623を記録した。2020年のドラフト全体13位、パトリック・ベイリーが台頭したことで、それだけが理由ではないかもしれないが、バートは、ジャイアンツに見切りをつけられたように思える。
今シーズン、ジャイアンツとパイレーツは、すべての対戦を終えた。バートは、4月下旬にサンフランシスコのオラクル・パークへ戻った時に、3試合で4打数0安打に終わった。ピッツバーグのPNCパークで行われた3試合は、ジャイアンツを相手に、グランドスラムを含む9打数4安打を記録した。
ここまでは、ジャイアンツ以外との試合も含め、21試合に出場し、打率.267と出塁率.362、4本塁打、OPS.879。今月初旬からは、3試合のうち2試合がヤズマニ・グランダル、あとの1試合はバート、という割合で、スタメンマスクを分け合っている。現在のバートの立場は、控え以上、併用未満、といったところだろうか。
まだ判断はしかねるが、現在の好成績は、偶然ではなく、遅咲きの兆しなのかもしれない。