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トレードで身代わりに放出された元本塁打王は、マイナーリーグ契約からスタート。開幕ロースター入りは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ルーク・ボイト Sep 18, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2月21日、ミルウォーキー・ブルワーズは、ルーク・ボイトとマイナーリーグ契約を交わした。ボイトは、ノン・ロースター・インバイティ(ロースター外のキャンプ招待選手)として、メジャーリーグ・レベルのスプリング・トレーニングに参加する。

 3年前、ボイトは22本のホームランを打ち、本塁打王を獲得した。1チーム60試合の短縮シーズンに、両リーグで唯一人、20本塁打に達した。2番目に多かったのは、19本塁打のホゼ・アブレイユ(当時シカゴ・ホワイトソックス/現ヒューストン・アストロズ)だ。

 ただ、本塁打王を獲得した翌年は、故障者リストに4度入った。そして、昨年はトレードで2度放出された。開幕直前にニューヨーク・ヤンキースからサンディエゴ・パドレスへ移籍し、夏にパドレスからワシントン・ナショナルズへ移った。ちなみに、昨年のホームランは、3年前と同じ本数だった。

 2度目のトレード――2018年の夏を含めると通算3度目――は、ホアン・ソトジョシュ・ベル(現クリーブランド・ガーディアンズ)の見返りとして、他5人とともに移籍した。トレードが合意に達した時点で、ボイトは交換要員に含まれていなかったが、エリック・ホズマー(現シカゴ・カブス)がトレード拒否権を行使し、同じ一塁手のボイトがホズマーの「身代わり」となった。

 さらに、オフに入ると、ボイトはナショナルズにノンテンダーとされ――契約を解除され――FAとなった。そこから、今月下旬まで球団が決まらなかったのは、メジャーリーグ契約を求めていたのが理由だと思われる。

 マイナーリーグ契約ながら、開幕ロースターに入るチャンスはある。ボイトが右打者であるのに対し、一塁手のラウディ・テレーズとDH起用が濃厚なジェシー・ウィンカーは、2人とも左打者だ。

 ボイトにとって、最大のライバルとなるのは、ケストン・ヒウラだろうか。右打者という点は共通し、もともとは二塁手だが、2021年以降は一塁を守ることのほうが多い。ヒウラは、メジャーリーグ1年目の2019年に、89試合で19本塁打と出塁率.368を記録したが、その後は伸び悩んでいる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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