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史上20人目の「3000奪三振」は誰が達成するのか。最短距離のグレインキーはあと118奪三振

宇根夏樹ベースボール・ライター
ザック・グレインキー(カンザスシティ・ロイヤルズ)May 29, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ザック・グレインキーは、今年も、カンザスシティ・ロイヤルズで投げるようだ。カンザスティのラジオ局、610スポーツ・ラジオのボブ・フェスコーによると、1年契約で合意に達し、1月31日の午後に正式発表の予定だという。MLB.comのマーク・フェインサンドは、契約の内容について、800万~1000万ドルにパフォーマンス・ボーナス(出来高)がつく、と報じている。

 39歳のグレインキーは、今年、メジャーリーグ20年目を迎える。ロイヤルズの選手としては、メジャーリーグ9年目となる。2002年のドラフトでロイヤルズから全体6位指名を受け、翌々年にメジャーデビュー。2010年のオフにトレードでミルウォーキー・ブルワーズへ移り、ロサンゼルス・エンジェルス、ロサンゼルス・ドジャース、アリゾナ・ダイヤモンドバックス、ヒューストン・アストロズを経て、昨年3月にロイヤルズへ戻ってきた。1年1300万ドルの契約を交わした。

 ここまでの19シーズンは、556登板(514先発)で3247.0イニングを投げ、223勝141敗、防御率3.42だ。170イニング以上のシーズンは13度を数え、そのうちの9シーズンは200イニングを超えている。2009年と2015年の防御率は、どちらも両リーグ・ベスト。2009年はサイ・ヤング賞に選ばれた。12年ぶりにロイヤルズへ戻った昨年は、先発26登板の137.0イニングで防御率3.68を記録した。

 また、グレインキーは、3000奪三振まであと118奪三振に近づいている。ナ・リーグとア・リーグの両リーグ史上、このマイルストーンに到達した投手は、19人しかいない。直近の18人目と19人目は、現ニューヨーク・メッツの2人、ジャスティン・バーランダーマックス・シャーザーだ。

 ただ、グレインキーが3000奪三振の20人目になるかどうかは、わからない。120奪三振以上のシーズンは13度あり、その半数近い6シーズンは200奪三振以上ながら、昨年の奪三振は73に過ぎなかった。イニングが少なめだっただけでなく、奪三振率も4.80と低かったのが理由だ。この数値は、キャリア・ワースト――キャリア・ベストは2011年の奪三振10.54――であるのに加え、昨年、100イニング以上を投げた140人のなかでもワーストだった。スタットキャストによると、グレインキーが投げた速球系――4シーム、シンカー、カッターの3球種――の平均球速88.3マイル。全盛期と比べると、5マイル以上も遅くなっている。

 とはいえ、与四球率1.77は、100イニング以上の140人中17位。4.00未満の防御率が示すとおり、まだ、ローテーションの一角を担うことはできそうだ。3000奪三振に到達するかどうかを問わず、すでに殿堂入りの切符は手に入れているような気もする。

 なお、バーランダー、シャーザー、グレインキーに次ぎ、通算奪三振の多い現役投手は、2807奪三振のクレイトン・カーショウ(ドジャース)だ。3月で35歳のカーショウは、グレインキーと比べると若く、奪三振率は落ち込んではいないものの、過去2シーズンとも130イニングに届かず、奪三振は150に達していない。

 カーショウの後ろにいる、2147奪三振のアダム・ウェインライト(セントルイス・カーディナルス)は、2500奪三振に達することもないだろう。41歳のウェインライトは、今年がラスト・シーズンだと思われる。カーショウとウェインライトの間には、2560奪三振のコール・ハメルズがいて、「FAの3投手が「公開練習」で売り込み。白星は合わせて254勝、年齢は計105歳」で書いたように、カムバックを試みているが、年齢はグレインキーと同じ39歳で、最後に投げたのは2020年だ。

 今年は届かないにしても、グレインキーとカーショウが来年以降も投げれば、どちらかが3000奪三振の20人目となるかもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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