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FAの3投手が「公開練習」で売り込み。白星は合わせて254勝、年齢は計105歳

宇根夏樹ベースボール・ライター
コール・ハメルズ Jul 3, 2020(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 1月27日、FAの3投手がテキサス州アーリントンで公開練習を行い、集まったスカウトたちに投球を披露したという。ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンらが報じている。

 マウンドに上がったのは、左投手のコール・ハメルズデレク・ホランド、右投手のカイル・クリックだ。3人の白星を合わせると254勝、年齢は計105歳となる。

 39歳のハメルズは、2006~20年にメジャーリーグで投げ、163勝を挙げている。最後の2020年は、1登板で0勝だ。2007~16年は、10シーズン連続180イニング以上。このスパンのシーズン防御率3.70以上は1度しかなく、防御率3.40未満は7度を数えた。メジャーデビューから2015年の夏までフィラデルフィア・フィリーズで投げ、フィリーズは2007~11年に地区5連覇を成し遂げた。2008年のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズとワールドシリーズで、ハメルズは続けてMVPを受賞している。ただ、過去2年は、メジャーリーグだけでなく、マイナーリーグでも登板していない。

 36歳のホランドは、2009~21年に82勝だ。2011~13年と2018年に規定投球回をクリアし、2013年と2018年は3.50前後の防御率を記録した。その後はブルペンから登板することが多く、2019~21年の3シーズンとも、防御率は5.00を超えた。昨年は、ボストン・レッドソックスのAAAとトロント・ブルージェイズのAAAで投げ、計39.0イニングで防御率5.77。それぞれ、5月と7月に解雇された。

 30歳のクリックは、2017~22年に9勝だが、すべてリリーフとして194試合に登板し、2セーブと40ホールドを記録している。昨年は、15.2イニングで防御率4.02。制球に難があり、2019年以降の4シーズンは、いずれも与四球率6.30以上だ。

 3人とも、代理人は違う。ただ、ハメルズとホランドはテキサス・レンジャーズとシカゴ・カブス、ホランドとクリックはピッツバーグ・パイレーツでチームメイトだった。また、クリックは、アーリントンの近くで生まれ育った。

 彼らに吉報が届くかどうかは、わからない。届いたとしても、マイナーリーグ契約だろう。

 3人のうち、契約を提示される可能性が最も高いのは、ハメルズだと思われる。全盛期も球速で勝負するタイプではなく、2018年と2019年には、190.2イニングで防御率3.78と141.2イニングで防御率3.81を記録している。健康さえ維持できれば、防御率4.00前後もあり得なくはない気がする。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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