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コレイアが入団しなかったジャイアンツとメッツに、大物遊撃手が退団した3チームは、誰が遊撃を守る!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ボーン・グリッソム(中央)Sep 9, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、ミネソタ・ツインズからFAになったカルロス・コレイアは、合意に達した契約が2度も成立に至らず、結局、6年2億ドルでツインズに戻った。右足首に対する懸念により、幻となった契約は、サンフランシスコ・ジャイアンツとの13年3億5000万ドルとニューヨーク・メッツとの12年3億1500万ドルだ。誰が最初に言い出したのかはわからないが、この一連の動きは「コレイア・サガ」と称されている。

 ジャイアンツの遊撃は、これまでどおり、ブランドン・クロフォードが守る。生え抜きのクロフォードは、2011年のメジャーデビュー以来、遊撃以外のポジションについたことがなく、ゴールドグラブ受賞は4度を数える。だが、コレイアが入団していれば、クロフォードは三塁へ移っていたのではないだろうか。三塁の筆頭候補は、昨年7月にメジャーデビューしたデビッド・ビヤーだ。昨年は、AAAの84試合で27本のホームランを打ち、メジャーリーグの52試合でも9本塁打を記録している。

 なお、クロフォードは、今年が2年3200万ドルの契約最終年だ。今月、36歳の誕生日を迎えた。来年からは、クロフォードに代わり、トップ・プロスペクトのマルコ・ルシアーノが遊撃を守る可能性もある。

 メッツの遊撃は、コレイアが入団しても、フランシスコ・リンドーアのままだったはずだ。コレイアは、遊撃から三塁へ回っていただろう。リンドーアは、10年3億4100万ドルの契約2年目を迎える。

 三塁は、前年のレギュラーと昨年8月にメジャーデビューした若手、アルシデス・エスコバーブレット・ベイティのどちらかだ。コレイアが入団した場合、少なくとも一方はトレードで放出されていた可能性が高く、ベイティはメッツで三塁手から外野手に転向していたかもしれない。

 また、今オフのFA市場に出た遊撃手ビッグ4のうち、コレイア以外の3人は、いずれも新天地へ移った。トレイ・ターナーはロサンゼルス・ドジャース→フィラデルフィア・フィリーズ、ザンダー・ボガーツはボストン・レッドソックス→サンディエゴ・パドレス、ダンズビー・スワンソンはアトランタ・ブレーブス→シカゴ・カブスだ。彼らは、それぞれ、11年3億ドル、11年2億8000万ドル、7年1億7700万ドルの契約を得た。

 ドジャースは、トレードにより、マイアミ・マーリンズからミゲル・ロハスを獲得した。ただ、マーリンズでは遊撃のレギュラーだったものの、ドジャースにおけるロハスの役割は、ユーティリティになると思われる。昨年は主に二塁を守ったギャビン・ラックスが、今年は遊撃手としてプレーしそうだ。マイナーリーグ時代は遊撃をメインとしていて、2021年のメジャーリーグでも、先発出場93試合のうち、遊撃出場が過半数を占めた。

 レッドソックスは、ボガーツが退団しただけでなく、二塁を守っていたトレバー・ストーリーが出遅れる。今月、右肘の手術を受けた。現時点では、キーケー・ヘルナンデスがセンターから遊撃へ移り、センターは1年700万ドルで入団したアダム・デュボール、二塁はクリスチャン・アローヨとなる見込みだが、ここから内野手を加える可能性もある。それが遊撃手なら、キーケーが二塁、アローヨは控えだ。ストーリーの復帰後は、キーケーとストーリーが併殺デュオを形成する可能性が高いものの、どちらが遊撃を守るのかは、まだわからない。

 ブレーブスには、2017~20年にミルウォーキー・ブルワーズで遊撃のレギュラーとしてプレーした、オーランド・アルシアがいる。けれども、ブレーブスが望んでいるのは、昨年8月にメジャーデビューしたボーン・グリッソムの躍進だろう。ジ・アスレティックのデビッド・オブライエンらによると、オフに入ってから――スワンソンのカブス入団が決まる前――――グリッソムはロン・ワシントン三塁コーチとともに守備の練習を行っているという。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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