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イチロー以外にも「ルーキーの首位打者」はいるのか。吉田正尚の予測打率は高く…

宇根夏樹ベースボール・ライター
イチロー August 8, 2001(写真:ロイター/アフロ)

 吉田正尚(ボストン・レッドソックス)は、過去5年とも、パ・リーグの打率トップ4にランクインしている。各シーズンの打率は、2018年が.321、2019年が.322、2020年が.350、2021年が.339、2022年は.335。順位は、4位、2位、1位、1位、2位だ。

 ファングラフスは、いくつかのシステムによる予測スタッツを掲載している。2023年の吉田の予測打率は、Steamerが.298、ATCが.285、THE BATは.283だ。ZiPSの予測は、まだ出ていない。

 いずれも.300未満ながら、Steamerが予測する吉田の打率は、どの選手よりも高い。昨年のア・リーグ首位打者、ルイス・アライズ(当時ミネソタ・ツインズ/現マイアミ・マーリンズ)の予測打率も.298だが、わずかに吉田が上回る。ATCとTHE BATが予測する吉田の打率は、ア・リーグ5位前後だ。

 Steamerの予測どおりなら、ア・リーグの首位打者は吉田、ナ・リーグはアライズとなる。ルーキーの首位打者は、2001年に打率.350を記録したイチローが最後だ。また、1900年以降、ナ・リーグで首位打者を獲得したルーキーは皆無。ア・リーグも、イチローの他には、1964年に打率.323のトニー・オリバしかいない。

 当時のオリバは、メジャーリーグ3年目ながら、紛れもないルーキーだった。1962年も1963年も、メジャーリーグでプレーしたのはシーズン終盤だけだ。両シーズンとも、出場は10試合に満たなかった。

 1964年から1971年まで、オリバは8年続けてオールスター・ゲームに選ばれ、1965年と1971年も首位打者を獲得した。イチローのオールスター・ゲーム選出は、2001~10年の10年連続。2004年に、メジャーリーグでは2度目の首位打者となった。

 なお、今年、アライズがナ・リーグ・トップの打率を記録すれば、DJ・ラメイヒュー(ニューヨーク・ヤンキース)に続く、両リーグで首位打者となる。ラメイヒューは、コロラド・ロッキーズとヤンキースで1度ずつ、それぞれ、2016年と2020年に首位打者を獲得している。こちらについては、2020年のシーズンが終わる前に書いた。

「MLB史上初の「両リーグで首位打者」が誕生するか。NPBにはセ・パ両リーグで獲得が2人いるけれど」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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