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FAに5億ドル近くを費やしたメッツは、トレードでも大物を手に入れる!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
リーアム・ヘンドリクス Jun 4, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、ニューヨーク・メッツは、FAとの契約に大枚を費やしている。球団からFAになった外野手とクローザーとリリーバー、ブランドン・ニモエドウィン・ディアズアダム・オッタビーノを呼び戻し、ローテーションには、ジャスティン・バーランダー千賀滉大ホゼ・キンターナを加えた。他に、リリーバーのデビッド・ロバートソンと捕手のオマー・ナルバイエズとも、契約を交わしている。8人との契約は、合計4億9117万ドルに上る。

筆者作成
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 さらに、メッツは、トレードで大物を手に入れるかもしれない。Metsmerized Onlineのマイク・メイヤーによると、メッツは、リーアム・ヘンドリクス(シカゴ・ホワイトソックス)のトレードについて、ホワイトソックスとコンタクトをとっている球団の一つだという。今月上旬に「2年連続35セーブ以上の投手に放出の噂が出ているのはなぜ!? 再建を始めるから…ではなく」で書いたとおり、ヘンドリクスには、放出の噂が出ている。

 メッツのブルペンには、タンパベイ・レイズから獲得したブルックス・レイリーも加わっている(「バーランダーや千賀のような大物だけでなく、メッツは地味ながら堅実な補強もしている!?」)。だが、メッツからFAとなり、他球団と契約したリリーバーは少なくない。

 セス・ルーゴはサンディエゴ・パドレス(2年1500万ドル)、トレバー・メイはオークランド・アスレティックス(1年700万ドル)、マイケル・ギブンスはボルティモア・オリオールズ(1年500万ドル)、ジョエリー・ロドリゲスはボストン・レッドソックス(1年200万ドル)へ移籍した(正式発表前の選手を含む)。スウィングマンのトレバー・ウィリアムズも、ワシントン・ナショナルズ(2年1300万ドル)へ移っている。ちなみに、ウィリアムズが契約を得たのは「ブラック・フライデー」が過ぎてからだ(「「ブラック・フライデー」に自ら売り出していたこの投手はお買い得!?」)。

 ヘンドリクスの交換要員として、メッツは、トップ・プロスペクトではないマイナーリーガー1~2名とベテラン1名を想定しているのではないだろうか。ホワイトソックスは、再建ではなく再浮上をめざしているので、数年後の人材と来シーズンの人材の両方という点では、需要に合う。

 メッツが放出するベテランの候補には、先発投手のカルロス・カラスコか捕手のジェームズ・マッキャンが思い浮かぶ。マックス・シャーザーと加入した3人で、ローテーションの5枠中4枠は埋まる。あとの1枠は、デビッド・ピーターソンタイラー・メギルを起用することができる。カラスコが抜け、ローテーションがややレベルダウンしても、ヘンドリクスを加えて勝ちパターンの試合終盤を強固にしたほうが白星は増える、という考え方だ。捕手は、マッキャンの他に、トマス・ニドとナルバイエズがいて、トップ・プロスペクトのフランシスコ・アルバレスもAAAまで挙がってきている。

 ただ、問題は、ホワイトソックスがカラスコやマッキャンを欲しがるかどうかだろう。1年1200万ドルでマイク・クレベンジャーを迎え入れ、ホワイトソックスには5人の先発投手が揃っている。ディラン・シースランス・リンルーカス・ジオリト、クレベンジャー、マイケル・コペックだ。捕手も、人数は不足しておらず、ヤズマニ・グランダルセビー・ザバラがいる。

 メッツがヘンドリクスを手に入れるには、他の選手を差し出す必要がありそうな気がする。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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