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東京ヤクルトからメジャーリーグへ戻っても、マクガフはクローザーを務めるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
スコット・マクガフ August 4, 2021(写真:ロイター/アフロ)

 来シーズン、スコット・マクガフは、8年ぶりにメジャーリーグで投げるはずだ。今オフ、東京ヤクルト・スワローズを退団し、アリゾナ・ダイヤモンドバックスに入団した。ファンサイデッドのロバート・マリーによると、契約は2年625万ドル。3年目の2025年は、年俸400万ドル(解約金75万ドル)の相互オプションだという。

 2015年の夏にメジャーデビューした試合では、5安打を喫し、イニングを終わらせることができず、その後の5登板は、いずれもリードされている状況で起用された。基本的には、モップ・アップ(敗戦処理)として投げた。

 けれども、来シーズンは、勝ちパターンで投げるリリーバーの一人として期待されている。現時点ではセットアッパーの可能性が高そうだが、クローザーもあり得る。

 ダイヤモンドバックスには、通算262セーブのマーク・マランソンがいる。ただ、サンディエゴ・パドレスでセーブ王となった昨シーズンと違い、今シーズンは不安定な投球が続き、8月上旬にクローザーの役割から外された。もともと、奪三振率はそう高くなく、カッターを主体にゴロを打たせるスタイルだが、年齢は、来年3月に38歳となる。スタットキャストとファングラフス、どちらのデータでも、これまでは50%を超えていたゴロ率が、今シーズンは45%未満に低下しており、復活には疑問符がつく。

 マランソンを除くと、ダイヤモンドバックスのブルペンに、メジャーリーグで通算20セーブ以上を挙げている投手はいない。シーズン二桁のセーブも、皆無だ。メジャーリーグではないものの、マクガフは、ここ2シーズンとも30セーブ以上を記録している。マランソン以外の投手と比べると、クローザーの経験は、マクガフに一日の長があると言っていいだろう。

筆者作成
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 また、マクガフとジョー・マンティプライ以外は、今シーズンの与四球率からも窺えるとおり、制球に不安を残す。ミゲル・カストロのシンカーとケビン・ギンケルの4シームは、コンスタントに90マイル台後半を記録し、メジャーデビュー前の2人、カルロス・バーガスジャスティン・マルティネスの速球はさらに速いが、安定感を求めるなら、マクガフとマンティプライの2人が、クローザー候補の上位に挙がるのではないだろうか。

 ちなみに、マンティプライも、マランソンと同じグラウンドボーラーだ。こちらは、90マイル前後のシンカーを軸とする。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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