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1年前にノンテンダーとした投手を、年俸1000万ドルで呼び戻す。2020~21年は開幕投手

宇根夏樹ベースボール・ライター
マシュー・ボイド Aug 29, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 デトロイト・タイガースは、1年前にノンテンダーとしたマシュー・ボイドを呼び戻した。ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンが、1年1000万ドルと出来高100万ドルの契約で合意に達したと報じている。

 ボイドは、31歳の左投手だ。来年2月に32歳となる。2015年6月にメジャーデビューし、その翌月にトロント・ブルージェイズからタイガースへ移籍。それ以来、昨オフにノンテンダーとされてFAになるまで、タイガースの先発投手として140試合以上に登板した。2020年と2021年は、2年続けて開幕投手を務めた。

 今シーズンは、1年520万ドルでサンフランシスコ・ジャイアンツに入団し、夏のトレードでシアトル・マリナーズへ移った。前年9月に左腕の手術を受け、移籍前の登板はなし。マリナーズではリリーフ投手として、8月にAAAで6登板、9月以降にメジャーリーグで10登板。それぞれ、防御率2.25と1.35を記録した。

 契約からすると、タイガースは、先発投手としてボイドを起用する意向のようだ。実績がほとんどないリリーフ投手に対し、年俸1000万ドルは高すぎる。

 ただ、先発マウンドに上がった2015~21年の7シーズン中、防御率が4.35を下回ったのは、15登板で防御率3.89の2021年しかない。2度の開幕投手は、エース不在のなか、消去法によって決まったように見える。タイガースは、2017年から負け越しのシーズンが続いていて、2017~20年の勝率はいずれも.400に届かなかった。

 とはいえ、今のところ、ボイドのローテーション入りはほぼ確実だろう。確定しているのは、エデュアルド・ロドリゲスマット・マニングの2人だけだ。スペンサー・ターンブルケーシー・マイズは、それぞれ、昨年7月と今年6月にトミー・ジョン手術。タリック・スクーバルも、今年8月に肘の手術――トミー・ジョン手術ではない――を受け、開幕には間に合いそうにない。ビュー・ブリスキージョーイ・ウェンツは、今シーズンがメジャーリーグ1年目だった。2人合わせても、115イニングに達してない。

 なお、今年9月にタイガースの編成責任者となったスコット・ハリスは、それまでの3年間、ファーハン・ザイディの下、ジャイアンツでGMを務めていた。ボイドは、昨オフに続いて今オフも、ハリスのいる球団と契約を交わしたことになる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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