Yahoo!ニュース

エンジェルスはトレードで獲得した三塁手に遊撃を守らせる!? ベラスケスやフレッチャーの立場は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジオ・アーシェラ Sep 27, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・エンジェルスは、マイナーリーガーの投手、アレハンドロ・ヒダルゴと交換に、ミネソタ・ツインズからジオ・アーシェラを獲得した。

 アーシェラは、31歳の三塁手だ。今シーズン、三塁を守った1144.2イニングは、両リーグで7番目、ア・リーグでは4番目に多い。ツインズのレギュラー三塁手だったということだ。

 エンジェルスの三塁には、アンソニー・レンドーンがいる。ここ2年は故障がちだが、その前の4年は、いずれもシーズンOPS.900以上を記録した。来シーズンは、7年2億4500万ドルの契約4年目。6月上旬に33歳となる。

 一方、アーシェラは、2019~20年に2年続けてOPS.850以上ながら、ここ2年のOPSは.770に届いていない。規定打席に達したのは、メジャーリーグ7年目の今シーズンが初めてだ。

 エンジェルスは、レンドーンが健康でいる限り、アーシェラに遊撃を守らせるつもりでいるのだろう。アーシェラは、内野4ポジションに加え、レフトを守ったこともあるが、メジャーリーグで通算25イニング以上は、4350.1イニングの三塁と288.0イニングの遊撃だけだ。

 遊撃にアーシェラ、三塁にレンドーン、一塁にジャレッド・ウォルシュが並ぶと、残る内野のポジションは二塁のみ。このままいくと、デビッド・フレッチャールイス・レンヒーフォの2人はアクティブ・ロースターに入るものの、アンドルー・ベラスケスはマイナーリーグで開幕を迎えそうだ。いくら守備がよくても、ベラスケスの出塁率は、あまりにも低すぎる。

筆者作成
筆者作成

 フレッチャーとレンヒーフォは、二塁手と控えの内野手かその逆、あるいは二塁で併用されるのではないだろうか。出塁率は、どちらも同水準だ。ベラスケスほどではないが、彼らの出塁率も低い。また、フレッチャーは、空振りが少ないものの、パワーはないに等しい。レンヒーフォは、8月と9月にホームランを6本ずつ打ったが、どちらの月も出塁率は.280に届かなかった。

 今オフのFA市場には、カルロス・コレイアトレイ・ターナーザンダー・ボガーツダンズビー・スワンソンといった遊撃手が出ている。だが、今のエンジェルスには無縁の存在だ。球団を売ろうとしているのに、大枚を叩いて選手と契約を交わすとは考えにくい。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

宇根夏樹の最近の記事