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「負ければポストシーズン敗退」の試合に先発の日本人投手はダルビッシュら5人。最高の投球をしたのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
田中将大 OCTOBER 8, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 サンディエゴ・パドレスは、ポストシーズン敗退の瀬戸際にいる。ワイルドカード・シリーズとディビジョン・シリーズは、2勝1敗(○●○)と3勝1敗(●○○○)で勝ち上がってきたものの、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズは、ここまで1勝3敗(●○●●)だ。このシリーズは、4勝を挙げたチームがワールドシリーズへ進む。

 パドレスにとっては「マスト・ウィン・ゲーム」となる、第5戦の先発マウンドには、ダルビッシュ有が上がる。第6戦と第7戦も「マスト・ウィン・ゲーム」だが、第5戦に勝たなければ、そこでシリーズは終わる。

 メジャーリーグのポストシーズンで、ダルビッシュはこれまでに3度、負ければポストシーズン敗退となる試合に先発登板している。それについては、「ダルビッシュが「負ければポストシーズン敗退」の試合に登板するのは4度目。過去3度の結果は…」で書いた。

 ダルビッシュの他にも、同じ状況で先発マウンドに上がった日本人投手は4人いる。野茂英雄吉井理人松坂大輔田中将大(現・東北楽天ゴールデンイーグルス)がそうだ。

 それぞれの試合は、以下のとおり。

筆者作成
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 ポストシーズン通算2登板の野茂は、どちらも、0勝2敗で迎えたディビジョン・シリーズ第3戦に投げた。第1戦のラモン・マルティネス――ペドロの兄――と第2戦のイシュメール・バルデスに続いて登板したことも、共通する。相手は違うが、野茂がいたロサンゼルス・ドジャースは、2年続けてスウィープされた。近年の強さからすると信じ難いかもしれないが、ドジャースのポストシーズン進出は、この前後のいずれも、5年以上のブランクがある。

 吉井は、今回のダルビッシュと同じく、1勝3敗のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズに登板。4回表に3連打で同点に追いつかれ、次の打者を歩かせたところで降板した。吉井と投げ合ったのはグレッグ・マダックス、吉井と交代したのはオレル・ハーシュハイザーという、豪華な顔ぶれ。試合は、15回裏にロビン・ベンチュラが「サヨナラ・グランドスラム・シングル」で終わらせた。フェンス・オーバーの一打ながら、ベンチュラは途中でチームメイトに囲まれ、二塁に達しなかったので、記録はシングル・ヒットだ。

 松坂がボストン・レッドソックス時代に登板した「マスト・ウィン・ゲーム」は、いずれも終盤に打線が爆発した。2007年のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズ第7戦は、松坂が降板した時点でも3対2とリードしていたが、翌年のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズ第5戦は、0対5とリードされていた。2試合とも、松坂の次に岡島秀樹が投げた。

 田中は、2015年のワイルドカード・ゲームも、失点はホームラン2本による2点と少なかったが、2017年のディビジョン・シリーズ第3戦は、7イニングを投げてホームを踏ませなかった。田中のいたニューヨーク・ヤンキースは、第3戦に続いて第4戦と第5戦も勝利を収め、3勝2敗で次のシリーズへ進んだ。田中は、この年のポストシーズンで3試合に登板し、20イニングで2失点(自責点2)、防御率0.90を記録した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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